To put it forcibly, the ideal of career education will be entrepreneurship education. - 我が田へ水を引くわけではありませんが…。


イヤイヤちゃんの耳には「夢」が詰まっているそうです!)

 明日12月1日は現行ルールでの12月の就活解禁、最後の年ですね。ピーター・ファーディナンドドラッカー(Peter Ferdinand Drucker)がこのように言いきっています。「ほとんどの人は働かなければ道徳的にも肉体的にも堕落する。」 その上で仕事を自己実現の手段としています。

 さて本日はFacebookなどで、多くのご感想や見たよメッセージをありがとうございました。一昨日の木曜日は首都大学東京へ、また昨日の金曜日は沖縄高専に出張でしたので、ここ数日はメールやメッセージ等になかなかご返信ができない状態でした。

 今日といいますか、既に日が変わったので11月30日(土)ですが、10時から放送された福井テレビの「座・タイムリーふくい」『“人材育成”何が必要?教育と仕事を考える』でお話の機会をいただきました。

 いろいろなことを話していましたが、言いたかった結論は最後のところです。極論をすれば「キャリア教育の理想は起業教育である」ということです。冒頭に司会者の方が提起されたとおり、キャリア教育は「社会的・職業的自立に向け、必要な知識、技能、態度をはぐくむ教育」(文科省)と、少々わかりにくい定義がされています。

 しかし社会的に自立する前提に職業的な自立は不可欠ですから、その意味で「職業的」という重なった言葉を抜くと、要は「教育の定義」そのものです。そこにあえて「職業的」などと入れてしまったことから、職業選択を主眼とする間違った方向に向かいます。それではキャリア教育のほんの一部に位置する職業教育に他なりません。

 職業教育がキャリア教育にとって悪いかというと、情報の提供という意味で、もちろん良い面があることも事実です。しかし私はその職業教育が行き過ぎると、つまりごく一部の職業を見せ、「では夢を決めましょう」と「夢」といいつつ「具体的な職業」を選択させる今の教育については、良いと思いません(少なくともイヤイヤちゃんの耳に詰まっている「夢」は「職業名」じゃないですよね)。「このような社会にしたい。福井はこのようにあってほしい。だから変化する社会の中で自分はこのように生きる。」それがキャリア教育であり、その活動のひとつに仕事が存在します。

 ただし職場見学の効果を否定するものではありません。やるならば連続性を持って、それこそ毎週のように学校の帰りに何かを見る「ぐらい」の必要性はむしろ感じています。少なくとも親の職業を語る(背中を見せるような)家庭教育は必須です。1年に1回職場見学をインターンシップと捉え、それをを「キャリア教育または職業教育を満足しているもの」とし、限られた範囲から選択を迫ることが問題ということです。

 大人が無理に子供に職業を決めさせた結果、例えば多くの可能性を遮断してしまう面を認識する必要があります。わかりやすい例が文系、理系という分類です。今の受験制度から高3進級時には選択が必要かもしれませんが、例えば小中学生でプログラマーを目指すからという夢(本当は「目指す職業」)を持つことで、一部の科目を学ぶ機会を端から捨ててしまうかもしれません。

 本当にそれが目指すものであればもちろんそれでいいわけですが、世の中には私たち大人でさえ知らない数の職業が存在します。といいますか、現代社会における職業は莫大な数です。全て教えきることは到底無理です。より正確に言うと、30年前には想像すらできなかった職業がどんどん生まれているのが、日々変化する現代の社会です。

 職業教育という狭義の教育で話すにせよ、具体例のみを教えるのではなく、想定外の事象がこれからの人生では起こり、今ある職業以外に新たな職業が生まれる可能性を最初にしっかりと伝えねばなりません。具体例はそのあとです。

 諸悪の根源は大人が「こうである」という価値観を押し付けている点であり、その気づきが必要です。なんにでも「こうあるべき」と言い切る人がいます。そこに「果たしてそうなの?」という疑問の余地を挟む隙間を敢えて相手に与える余裕も必要です。だから極論を唱える「こうあるべき」論は嫌いではないのですが、中途半端な「いかにもそのような」論は嫌いです。極端な語り方のほうが他者への気付き(疑問の隙間)を与える点で私は好きです。

 では冒頭の「キャリア教育の理想は起業教育である」についてです。具体的な目標を早期に設定しすぎて、そこに向かうがあまり寄り道をしない収束する学びを行い、子供の可能性を閉ざすのはベストな教育方法ではありません。では起業教育はそんなに素晴らしいのでしょうか?ええ、とても素晴らしいですよ!起業を経験すればきっとわかります。

 起業では、(教育も実践も)自分は何ができるか(自分がもつリソース)と、自分が何を使えるか(他人、まわりにあるリソース)を把握し、想像し悩み抜いて何度も練り直し、ある日、曖昧さの中に「『!』らしきもの」をみつけ、「新しい何か」を始めます。それは最初に定められた目標だけに向かっていません。向かう方向は様々です。そこには無限の発散の可能性があります。

 もちろん全員が起業家になる必要はありません。そもそもほぼ全員が成功する起業アイデアを見つけることはできません。それでいいのです。自分が出した起業アイデアが既に存在するものであっても、その職業に従事する目標がその学生にとっては良い目標になるでしょう。その職業は教えられた狭い範囲の外にあるものかもしれないからです。よくいわれる"Think outside the box!"です。

 起業教育はビジネスアイデアを考える段階から創造性の教育を必要とします。すると「キャリア教育の理想は起業教育である」ではなく、「理想の教育は起業教育である」としても過言ではありません。そこまでいうと我田引水にも程があるかもしれませんが…。

 再放送は12月2日(月)25:35〜26:30です(^ー^)。

 
 (何が嬉しいかというと、このイヤイヤちゃんぬいぐるみをいただけたことです。娘にといただいたので…、(私が欲しかったので)少し躊躇しましたが(!)、娘にちゃんと渡しました^^)

    
 (沖縄では一押しのお土産を発見しました。紅芋レアケーキ"Shuri"です。あまりの美味しさに5個入りを4箱も買いました。賞味期限は1週間です…)