Will problems arise because of the squeeze out? - それってパージそのものですよ!


(6月ですね。先日、タイの大学の先生がこられたので、ゆりの里公園にお連れしました。)

 先日のブログ「I tried to exercise my Share Option, but −権利は行使したものの…」(リンク)で、とある未公開会社のライツオッファリングについて触れました。今回、別の未公開会社から「株式移転による完全親会社設立」について連絡がきました。

 ここも10年以上前から株式を所有することになった、思い入れのある会社です。今回は前回のライツオッファリングではなく、株式移転です。

 「株式移転」って、聞いたことのあるようで、よくよく考えると聞き慣れない用語です。聞いたことがあるのは1999年の商法改正で導入された「株式交換」ですね。

 株式移転も株式交換も、買収される側の会社の株主は、その所有株式分に対し、親会社となる会社の新株を割り当てられ(交換し)ます。一緒のようなのですが、明らかに異なる部分は、前者が「新たに親となる会社を設立」して既存株主に新株式を割り当てるのに対し、後者は「すでに親(候補)となる会社が存在」していてその親会社が新たに発行する株式と交換する点です(ここでいう割り当てと交換は実質的には同じです)。

 つまり後者は、主にM&Aで使い勝手の良いスキームということです。しかも1999年までの買収は多額のキャッシュを準備して対象企業の株式を買い取りましたが、株式交換では新株の発行によりキャッシュレスで買収できるわけですから、買収する側には大きなメリットがあります(もちろん新株発行による既存株主持ち分の希薄化など、デメリットと想定されるものも存在します)。

 そのような「株式交換」に対し、よく似た「株式移転」のほうは、どういうときに使われるのでしょうか。もちろん新たに親となる会社を作るわけですから、これまでの「単純にA社がB社を買収する」というようなものとは少し異なります(もちろん同手法によるM&Aは可能で、そのような場合も存在します)。今回の表向きの目的を会社側はこう説明しています。
1.経営効率向上 2.組織再編の柔軟性と機動性 3.グループの最適化とカバナンス強化
 う〜ん、表向きの目的のような…といいますが、確かにそのとおりなのですが、これらの言葉の裏で重要な影響を及ぼす文言、「既存株式1000株に対し、新会社株式を1株を割り当てる」がポイントになります。どうやら「スクィーズ・アウト(squeeze out)」といわれる「少数株主の閉め出し」を目的と捉えることができそうです。もちろん締め出される少数株主には金銭が交付されます。反対株主(および反対でなくても少数株主)には、旧株式の一株純資産以上の額を提示されています(今回も未公開会社ですから、一株純資産額が基準のようです。ただし手間や期間、みなし配当、その他の税務も考えねばなりません)。

 同社はこれまで100株単位でしたから、今回の株式移転で一定数の株主が排除されます。その結果の1.2.3.でしょうか?(笑)

 今回の場合、端数にならないことから私は締め出しを食らわないので、引き続き同社を応援したいと思います。しかし「スクィーズ・アウト(squeeze out)」って、少数株主を会社の意向に反するとみなせば、政府等が反対思想の人々を締め出す「パージ(purge)」そのものですよね。そして今回の同社の決定は、裏に切れ者の存在を感じます。誰なんでしょうね?

 さてもう中旬を超えました。6月のしろたんは、イタリア「ゴンドラにゆられて」だそうです。