Business planing helps you understand your business ! − 「再び!」教育におけるビジネスプラン作成についての捉え方について

 今朝、起業教育研究に関係する先生からいただいたメールの中で、「『ビジネスプランの作成』は起業教育(アントレプレナーシップ教育)の中でどう捉えるか」という主旨の問題提起の内容が含まれていました。つまり「ビジネスプランの作成は役に立つのか?」「起業の成否と関係があるのか?」ということです。

 このことについて、昨年のブログ(⇒その全文はこちら)で、次のようにある研究者のコメントを引用しました。
(昨年のブログに記載引用したShane(2008)の文章)
"Writing a busuness plan enhances product development, improves the organization of new ventures, increases the likehood that they will obtain external capital, increases the level of venture sales, and reduces the likehood that the venture will fail" (Scott A. Shane “The Illusions of Entrepreneurship” Yale University Press, 2008, pp.117-118)

 ビジネスプランを書くことは、①製品開発を高め(促進し)、②新しいベンチャーの組織を改善し、③外部からお金を得るであろう見込みを増やし、④会社売り上げを増加させ、⑤失敗の可能性を減らす、ということです。(ここまでが昨年のブログの内容より)

 その上で本日のメールでさらに「どう捉えるか」という考えに至ったわけですが、ここに特段に独創的な意見を持ち出す必要もないわけで、Bygrave & Zacharakis(2008)は次のように述べています。

"The most important aspect of writing the business plan is not the plan itself, but all the learning that goes on as you identify your concept and then research the concept, the industry, the competitors, and, most importantly, your custeomer."(Bygrave & Zacharakis, “Entrepreneurship (Second Edition)” Wiley, 2011(2008), p.235)

 基本的には、起業教育(アントレプレナーシップ教育)におけるビジネスプランの作成については、このような考え方が基本になると思います。ビジネスプランそれ自体が目標ではなく、書く過程で様々な学びがあるという捉え方です。もちろん広い意味で創造性などが養われることは言うまでもありません。

 ビジネスプランの作成についての捉え方のポイントは、ShaneもBygrave & Zacharakisも言うように、自分が行おうと考えているビジネスを見直すことができ、どのような要因が影響を与えるかを知る、つまりシミュレーションができることにあります。

 私がこれからの教育にとって重要だと考えているのは、知識を学ぶ受動的教育だけでなく、行動を起こすことで経験を得る能動的教育だと思っています。特に他者の行動から判断力と思考力を学ぶことができる教育システムの確立です。これは一人で学べないのはもちろん、教師と生徒の間の双方向ででも習得することはできません。

 手前味噌で恐縮なのですが、そのような想いから2009年から研究に取り掛かり、2012年度後半より学外の業者さんにプログラミングの協力も得て、今年の3月末日に、起業の体験ができる多人数同時参加型オンライン起業シミュレーションゲームを完成させました。その開発および研究の予算は、スタートは2009年度の京都大学のVBL若手研究助成に始まり、中山隼雄科学技術振興財団研究助成、科学技術融合振興財団調査委託研究、本学のILF試作開発事業助成です(ありがとうございました!)。

   

 さっそく本学の授業でも使用しています。ご興味を持っていただいた方は、5〜50名程度でぜひ試してみてください(^−^)。またこの研究は起業教育だけでなく、2013〜2015年度の科研費により、金融リテラシーの教育にも発展させていく計画です。ゲームが日本の教育を「本当に」ゲームチェンジ(大転換)させると確信しています。