I tried to exercise my Share Option, but −権利は行使したものの…


(もうすぐ5月ですね。今年もパキラは元気に新しい葉を出し始めました。今年は切らなかったので背が伸びたままです。)

 ずいぶん昔に保有することになった未公開会社の株式があります。その後、同社は増資や名称変更など、こちらが把握できない程、紆余曲折を繰り返しました。先日、同社から新株予約権の行使期日の案内がありました。ライツ・オファリング(自社の株主に新株予約権を割り当てる増資手法)ですね。

 確かに株式以外に、新株予約権も購入したような覚えがないわけではありません。届いた資料をよく読みます。権利行使価格の倍までの価値にはならなくとも、行使価格以上の1株純資産があります。つまりそれなりに含み益はありそうです。しかし…!ムム、この権利を行使しても単位株に満たない!どうやら一昨年あたりに新会社へ移行(株式移転)したようで、単位が変更になっているらしい。

 新株予約権1000個に対し、新株式1株が割り当てられるとのこと(つまり旧株式の単位を1000個持っていないと1株にならない)。新株予約権の行使の結果として、1株未満になる場合は、1株純資産に比例した金銭が交付されるらしい。

 創業時の同社もさながら、今でも愛着があるので、せめて行使後に0.5株以上になる場合は残り分を追加で支払うので1株として渡してもらいたいものです。(原則として、新株予約権は「放棄」「売買」「行使」の3つの手段をとることが出来ますが、上場会社ではないので、実質的に売買する市場がないのです。)

 同社に払込額などの確認をしてみると、「手続きに時間がかかるので、またそれまでのやり取り等も含めた手数も考えてね。」とのこと、向こうとしては「行使(払い込み)」をせず、この新株予約権を「放棄」してほしいみたいな様子も感じ取れました。

 ただ、もともと中小企業のファイナンスから研究をスタートして、今ではアントレプレナーシップや起業、ベンチャーの研究をしているものにとっては、むしろその手続きや会社の株主への対応に興味があるわけです。今のところは結果として損はしないので、行使してみることにしました。面倒をかけてごめんね…。

 一般的にライツ・オファリングは、市場価格よりも低い価額で新発行株式を購入できます。ですので、同社のように市場価格がついていない場合は、1株純資産より下の価格での設定になったようです。

 また日本で導入されてまだ数年という同手法ですが、未上場株の場合は実質的な株主割当増資ですから、既存株主の株式の希薄化を防ぎます。一般的に株主割当増資との違いは、同手法の場合、払い込みに応じなくとも新株予約権を市場で売却すれば、行使価格が低く設定されていても権利売却分で損失を軽減または回避できる可能性があるという点で優れています。

 ともあれ、今回の場合、新株予約権の権利は行使したものの、新株がやってくることはなく、払込額より多い金銭が戻ってくるという形になります。不思議な権利行使ですね。

 穿った見方をすれば、今回の株式移動による実質的な単位変更で、既存株主にとっての希薄化は防ぐとしつつ、実質的には所有率の低い株主には現金で還元する形になりますから、合法的な大株主の支配率上昇を狙ったものとも考えることができますね。ともあれ同社の発展を期待しています(^^)。

    
 (少し早いですが、5月のしろたんはスイスでアルプホルンにチャレンジだそうです)