大学城下町の再開発が地域再生につながる!

 「宝の中の宝といふは人材にしくはなし」(徳川家康という言葉があります。人の大切さを説いた言葉そのものです。「人は城、人は石垣、人は堀、情けは味方、仇は敵なり」(武田信玄という言葉も私は好きです。城や石垣、堀(戦国時代にはとても重要なもの)ぐらい人は大切という意味ですね。

 人が集まる場所には好循環が生まれます。地域の活性化は、人をどのようにして集めるかにかかっていますが、その方法の一つとして大学城下町という方法を再考するのも手だと私は思っています。

                                    • -

 先週、日本経営学会に参加し、兵庫県甲南大学に行きました。9月に入ったにも関わらず、強い日射しと暑さで、阪急岡本駅から甲南大学までの約15分程度の道のりを歩くのは、いい運動になりました。

 ただこの約15分の大学までの徒歩なのですが、飽きることはありませんでした。それは写真のような風景の中を歩いたからです。

 
 (阪急岡本駅前、道は狭いながらも、駅前はお洒落な雰囲気です)
 
 (駅前の商店街です)
  
 (大学に向かう途中の道も、学生や地元向けのお店が並びます)
 
 (15分とは思えないぐらい、飽きる間もなく大学に到着しました)
 
 (大学の中も雰囲気があります)

 駅前商店街の活性化について記載したブログでも触れたのですが、個々のお店の機能的付加価値ではなく、地域全体としてのデザイン性に代表される経済的付加価値がどれだけ大きな価値を持つかを示す、良い例だと思います。

                                      • -

 3月17日のブログで "Entrepreneurial Ecosystem" について記載しました。日本では「アントレプレナーシップ・エコシステム」という表現で似た内容を述べられることがあります。大学を含む、含まないは別として、起業を生み出すための効率的で協同的な仕組みのことを指し、以前は米仏の例を出しました。

 本学でも、地域企業が共同で利用できる大規模な研究施設が今年に入り完成し、ある意味で小さなエコシステムが生まれつつあります。今後、この小さなエコシステムを、和算ではなく掛け算の発想で有機的に拡大できれば、きっと日本における大学を中心とした "Entrepreneurial Ecosystem"の先例になるでしょう。

 そのためにはまだまだ足りないものを付加せねばなりません。イノベーションという視点では、事業化面での支援機関、自治体、さらに新領域への展開のための自然科学、社会科学の双方視点での学際的な融合研究です。

 これらの和算に数倍の価値を持たせるためにも、人があつまる環境づくりという視点が必要です。魅力的な大学周辺の街づくり、地域づくりですね。米国において、大学周辺に企業や支援機関が集まり、大学城下町を形成する成功例を出すまでもなく、日本における地域の再生もそのきっかけは大学周辺の再開発にありそうです

 本学周辺…車利用者が増えたことも一因で、少し元気がありません。少なからずテコ入れをすれば、大きく変わるのは間違いないのですが、自治体としては今は中心駅前のほうが重要なようです。

 こちらは、今年7月に行ったイギリスのOxfordの街並みです。Oxfordは町全体が大学城下町というぐらいに発展しています。

 
 (Oxfordの駅と大学街の間の商業集積地です)
 
 (このまわりは図書館や多くの大学が集まっています)