国と地方の借金、個人資産を上回る!?〜法人税0と内部留保還元法制定の提案〜

 日本国の借金は今も膨らみ続けています。日本は国債や地方債など借り換えにより、今まで破綻(default)を避けてきました。今後も借り換えを行う限りにおいては、破綻は起こらないのですが…。

〜ここから引用〜

国と地方の借金、個人資産1110兆円上回る?
読売新聞 9月18日(日)23時47分配信

 五十嵐文彦財務副大臣は18日、テレビ朝日の番組に出演し、日本銀行が20日発表する6月末の統計で、国と地方自治体の借金の総額が、国内の個人の金融純資産額を初めて上回る可能性があるとの見通しを示した。

 五十嵐氏は「今年の(個人)金融資産は伸びていない」と指摘し、双方の数字が「クロスする可能性がある」と述べた。

 五十嵐氏が指摘したのは、日銀が発表する2011年4〜6月期の資金循環統計(速報値)で、個人の金融資産から負債を引いた「純資産」と、国・地方の中長期債務残高に政府短期証券などを加えた「借金の総額」についてだ。

 個人金融純資産と国・地方の借金の差は縮まっている。3月末時点では個人金融純資産(1110兆円)に対する中長期債務残高(894兆円)と政府短期証券などの合計は1045兆円だった。

〜引用ここまで〜

 国と地方の借金が日本人の個人資産合計を上回ると何が問題かと言うことですが、極めて単純に言うと、日本人が新たに日本の国債や地方債を購入する資産がなくなるということです。以前も書きましたが、日本の国債は、その95%が日本人(機関投資家による間接的保有を含む)と言われています。

 私は授業で、今のままいくと2013年が危ないと言い続けてきましたが、まさに個人金融資産合計の縮小と、日本の国と地方の借金の増加がクロスするのが2013年と計算していたからに他なりません。個人金融資産の合計が思いの外、縮小しているということのようです。

 米国債のように、海外の国が国債を買ってくれればいいのですが、では日本国債を中国などの国が大量に保有すると…、それは絶対に考えたくありません。

 ギリシャ国債の格付けの低下に限らず、本日のS&Pによるイタリア、そしてつい最近、日本も格付けが下がりました。格付けが下がると調達金利も上昇傾向になり、より返済が困難になります。

 日本と同様の悩みを抱える米国オバマ大統領は、思い切った財政再建策を打ち立てましたが、それでも議会の承認を得るのは困難な様子です。日本でも当然のことながら、財政再建が必須です。しかし支出抑制、増税などの案は、国内世論を配慮し、日本の現政権は全く有効な策を出していません

 ここにも金融経済教育を怠ってきたツケが回ってきていると思います。基本的な金融経済の知識を知れば、私のように「(個人的な心情として)当然増税などはイヤだけど、日本が破綻するよりはまし。仕方がないな」という世論に傾く可能性もあるわけです。

 もっとも五十嵐氏のいう「クロスする可能性」を回避する一時的な応急処置はないわけではありません。例えばの応急処置ですが、個人金融資産を増やすための思い切ったインフレ誘導…、ただし根本の解決にはなっていませんので、あくまで延命手段であり、この間に抜本的な税制改革と財政再建(支出抑制)案が必要でしょう。もっともインフレ誘導の副作用は、実際にどうなるかは予想がつかない怖さもあるわけです。

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 明日、明後日と東京に出張の予定だったのですが、台風15号の影響で特急しらさぎが不通になっているようです。取り急ぎ都内で予約したホテルを急いでキャンセルしました。

 人智の及ばない自然災害を目の当たりにすると、経済問題などはまだ人智で影響を与えることが可能な範囲です。(世論を配慮して?)消費税をあげないで、かわりに所得税法人税をあげるなどという愚策には呆れます。

 消費税(付加価値税)は自身の買い物の判断でその支払いを調整できます。所得税は天引きです。個人的には所得税をあげるよりは消費税をあげるほうに賛成します。また所得税をあげればあげるほど非就労者も増加しそうな気がします。消費税をあげれば消費のための収入が今以上に必要になり、仕事しないわけにはいかなくなります。所得税があがると働く意欲が増加するとかというと…、それは微妙です。ここはまさにミクロ経済学でいう所得効果と代替効果の関係です。

 法人税をあげるなど、もってのほかです。円高に加え法人税高、そうなれば日本から企業がどんどん撤退します。消費税ではなく法人税をあげると聞いて、唖然としました。そうなるといくら法人税所得税、消費税の税率をあげようが、その源泉となる企業および就労者は日本からいなくなります。

 極論を言えば、法人税をむしろ0に極めて近くして、世界から日本に企業を呼び込むぐらいにすれば(法人税が極めて0に近いということは、タックス・ヘイブン(tax haven)国の例を出すまでもなく、国際的にインパクト大の政策です)、それに伴う人口増加、内需増加、所得税と消費税の収入増、そして日本は好景気を取り戻し、いずれ日本の借金は消えることでしょう。

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 一案ですが、法人税を極限まで下げた分、企業内の内部留保を制限し、人件費に転嫁する法律「内部留保還元法」を制定するとどうでしょう。すると企業によっては、従業員平均給与が数倍に跳ね上がります。またどの企業も、あがった利益は給与として還元されることから、従業員の士気は上がり、企業の生産性は飛躍的に向上するでしょう。真に競争力の強い企業が誕生します。

 また法人税を下げたとしても、この法律により国は所得税収入が増えます。さらに個人の可処分所得は増大し、内需の拡大は必至です。