社長に休日はあるのか?

 およそ多くの場合、会社といえば社員が数多く存在する組織を想定し、社長といえば組織のトップであるがゆえに「指示をする人」(そして「問題が起こったときに謝る人」…)というイメージがあるようです。

 かなり多くの場合、企業経営に関する理論といえば大企業を想定した研究がなされています。

 前者に関しては学生や一般の方が抱くイメージですが、ごく一部の大企業を除いて多くの場合、社長は(時には社員以上に)現場の業務に関与しますし、ベンチャービジネスであれば最初は0から一人で経営するというケースも数多く存在します。

 後者に関しては、中小企業に関する研究分野があるのですが、大企業を対象とした研究分野ほど領域が細分化されていることはありません。また中小企業論といえばベンチャービジネスも含め、様々な領域を扱います。しかし日本の会社の大半が中小企業であるというのが現実です。

 このようなことを改めて考えるきっかけになったのは、昨日の授業です。午前中は福井大学で学部生を相手に、午後に移動し、夕方に京都大学で大学院生を相手に講義を行いました。それぞれの授業後に「会社を設立したい(起業をしたい)」という受講生が話しにこられました。当然ですが各人によって想定されている産業も異なれば、スタート時の規模も違います。

 ただ各人の話を聞くと、過去に経済学、経営学の授業を受けてこられた方ほど、リスクの認識について不安を感じます。確かに日本版MBAなり、その他の授業で多くの知識を学んでおられることは話の内容から理解できますが、一般的な経営理論を学んだことが、そのまま起業に活かせるかというと、もちろんそうではないからです。この点について、日本の起業教育の現状では実際に起業をしてみないとわからない、といった博打状態になっているのではないかと危惧をしています。

 私の授業ではケーススタディを取り入れることが多いのですが、できる限り「変化(リスク)への対応」をひとつのキーとしています。その理由は、スタートアップ期のスモールビジネスほど、外部環境の変化に対する脆弱性を否定できないからです。中小企業には機動性があることがメリットと書かれている教科書もありますが、それ以上に人的なものを含めた中小企業の様々な過小資本が、機動性という漠然とした言葉でカバーできるほどかというと、現実はそうではありません

 また大企業を対象とした多くの経済理論、経営理論は否定されるべきものではないのですが、それらはあくまでもベースとなる知識であり、まだまだ従来の学問領域と実際の起業には溝があります。この溝をうめる一つの学問こそ(理論を逸脱しない程度の学問的裏付けがある)実務経験者による教育なのかなと思います。

 昨日、2つの大学で授業をし、起業を目指すそれぞれの受講者と話をする中で、出口に近い部分(つまり大学や大学院教育、社会人教育)における起業教育について考えさせられ、また日本における起業教育の体系性について自分の中で整理ができつつあるように感じました。

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 休日があるというのはいいものです。このようにいうと変に聞こえますが、多くの経営者の方と話していて得た結論から、また自らの経験からも、社長には休日がありません。正確には時間的に休日であろうが、携帯電話が手放せない、気になる、常に仕事のことが頭をよぎる、といった心理的な休日がないという言い方が正しいでしょうか。青年会議所の方は経営者だけでなく、幹部クラスの方も多いのですが、やはり同じようにおっしゃいます。程度の差はあれ、社長に限らず、幹部クラスの方に共通するようです。

 その反動のせいか私自身は、前々職から研究職に移った後の2〜3年ぐらい前は日曜日が来ると憂鬱でした。何もすることがない休日は逆にイライラしたり、また落ち着かなかったからです。結果として常にパソコンに向かっていました。意外に研究が進んでいたのかもしれません(笑)。ただ研究という仕事は心理的な余裕がないと、新たな発想は出てこないのも事実です。

 最近では休日を楽しむ余裕ができたように感じます。例えばこの連休中は、とあるドレッシング作りをしていました。とてもおいしいドレッシングを大学の職員さんから教えていただいたのですが、一般販売していないということで、「それならば開発するだけ!」という考えです。

 

 タマネギ、ニンジン、レモン、グレープフルーツ、ゴマ、セロリ、卵黄、香辛料、醸造酢、植物油などをジューサーにかけてつくってみたものの…。

 

 何かが違う。原材料は同じはずなのですが。やはり「餅は餅屋で」ということでしょうか。しかしいい気分転換になりました。

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 今日は福井駅からスマイルバスに乗りました。昔であれば時間を惜しんでバスにはまず乗らなかったのですが、これも時間に余裕ができた証拠でしょう。スマイルバスというのは、普通の路線バスとは少し異なり、100円前払いで福井市内を循環しています。とても小さなバスで、ゆっくりと移動します。乗っていると、なんとなくホッとして落ち着きます。

 

 そういえば、デパ地下巡りなどでお菓子を買い漁るようになったのも、2年ほど前からのような気がします。京都であられを買うときは、いつもは長岡にある小倉山荘のほうを選ぶのですが、今回は外装に惹かれて嵯峨春秋庵のものにしました。味も悪くないです。

 
 

 またしょうざんの味噌落花生なども手に入れました。味噌落花生は甘く、また柔らかいもので、これもなかなかいけます。