起業を促進する法案、Jumpstart Our Business Startups (JOBS) Act (米国)の成立について

 “America’s high-growth entrepreneurs and small businesses play a vital role in creating jobs and growing the economy."(Quotation: http://www.whitehouse.gov/the-press-office/2012/04/05/president-obama-sign-jumpstart-our-business-startups-jobs-act

 「米国の伸び盛りの起業家と小企業は、仕事を生み、経済を成長させる点で、重要な役割を果たす」とは、上記ホワイトハウスのサイトに掲載されているオバマ大統領の言葉です。

 4月5日、起業を促進する米国らしい法案が成立しました。Jumpstart Our Business Startups Act (JOBS法)といわれるものです。

 “These proposals will help entrepreneurs raise the capital they need to put Americans back to work and create an economy that’s built to last.”(Quotation: Same as the above)

 この法案は起業家が必要とする資金調達を助けるとのこと、それによってアメリカ人を仕事に復帰させ(雇用を増やし)、持続的な経済を創造すると発言しています。

 では具体的にはどのような法案かというと、税から資金調達要件の緩和要件まで、多岐にわたります。起業家には税制的な緩和、資金調達的な自由度を、投資家にもリスクと優遇策という選択肢を与えるというものです。双方にとってかなり思い切った内容です。特に気になったのはcrowdfunding(クラウドファウンディング)です。ネットを介して小企業が直接資金を集めることが出来るようになります。

 “The JOBS Act makes it easier for young, high-growth firms to go public by providing an incubator period for a new class of “Emerging Growth Companies.”(Quotation: Same as the above)

 新興成長企業なる新しく分類されるクラスの企業は、このJOBS法により準備期間を与えられ、株式公開がより簡単になるようです。先日のブログ「日立がNYSEに上場廃止を申請」にて、Sarbanes-Oxley Actによる様々な負担等について記載しましたが、その猶予期間とみることも出来ます。

 投資家保護起業促進政策という一見矛盾する双方のバランスを考えると、(我々、日本人の感覚だと)この法案に対し賛否が分かれるでしょう。しかし留意する点は、その前提として、投資家保護の最低要件である金融経済教育が十分になされている米国だからこそ、この法案成立に踏み切ることができたということです。いま日本が米国に倣えと同じことをすれば、きっと問題が生じるでしょう。