True news like a joke in Thailand−タイ警察からのお年玉!?


(先日のバンコクの風景、2015年12月)

 「国が変われば、習慣も考え方も変わります。違和感を感じても、日本式でものを考えてはいけません。相手を尊重し慮ることが、グローバル化の前提です」と、いつも授業で述べています。だからこそ「柔軟なものの考え方が、(これからの日本にとって欠かせないグローバルな産業人材育成としての)アントレプレナーシップ教育には大切である」と思っています。

 そういう私も以下のタイのニュースは、一瞬「ちょ!それ、ちゃうやろ?」と思ってしまいました。

"Traffic Fines Reduced to 100 Baht as ‘New Year Gift’
BANGKOK — 88 police stations in Bangkok will reduce traffic tickets to 100 baht starting today until next month."
(出所:http://www.khaosodenglish.com/detail.php?newsid=1450786935

 記事が出た12月22日(昨日)から来月(正確には1月15日)まで、バンコク都内の88の警察署では、「新年の贈り物」として交通違反の罰金が100baht(330円ぐらい)に減額されるそうです。

 この見出しだけ読むと、「なんじゃそりゃ?」ですが、よくよく記事を読み進めると、"the promotion is meant to clear a massive backlog of overdue fines."とのこと、なるほど、これも考え方だなと感じました。期限切れの罰金の大量のログを整理する目的があるようです。効率性を重視していますね。

 タイの国民性として、"Under Thai traffic laws, motorists are expected to pay fines within seven days, and driving licenses cannot be renewed unless all fines have been paid first. However, since there is no serious repercussion for overdue fines, many motorists simply chose not to pay the fines for months, if not years."とのことで、罰金を1週間以内に納付しない人が多いようです。

 弁護士らは反対意見を述べているようですが…。"Although some lawyers said this project would encourage people to commit more crimes, Sanit argued that police will still punish those who break traffic laws anyway."ということですから、警察側のサニット氏も、もっともな意見を述べていますね。弁護士らがいうように交通違反を助長しそうなきがしますが、サニット氏の反論のように罰則がなくなるわけではありません。100bahtといえども、罰金を払いたい人はいないでしょうからね。

 社会現象において、往々にして、弁護士らによる感情論的な意見と、学者らによる理論が対立することがあるように思います。どちらが絶対ということはないのですが、敢えて言うなら、前者は人間の思考の限界の本質をとらえていて、後者は冷静な判断に基づいています。

 つまり前者と後者の差は、行動経済学では計算コストというものでとらえる、限定合理性の理論になります。人間は合理性を選好するけれども、その計算には限界があり、その結果、コンピュータのような完璧な行動をしないといえばわかりやすいでしょうか。

 なお、人間の経済行動の合理性の限界については、アレ(Allais)の期待効用に関するパラドックスなどが代表的です。

    
 (左はチャンカセム・ラチャパット大学前の道路、渋滞ポイントなのですが、片側は綺麗に車がいない。するとその後、警察護衛車が通り、その間に偉い人の車があった様子。この間、大学に入るための歩道橋も通行禁止だった。右は、普段のよくあるバンコク市街の渋滞。)