Fish market is to new technology what securities market is to electronization. - 同じような効果を生むでしょうか?


(タイ国ウドンタニから国道2号線をコンケン方面に向かった途上の市場)

 年初1月に既に発表のあった銚子の魚市場(第一卸売市場)が高度衛生管理型に生まれかわる件ですが、先日3月17日の朝日新聞朝刊に興味深い記事がありました。記事によると、アメリカ宇宙衛生局(National Aeronautics and Space Administration, NASA)の衛星技術を導入するそうです。

 その目的は、銚子が首都圏に近いことから「観光、地域の活性化」につながること、および安全で鮮度の良さをアピールし、「魚価のアップ」を目指すことと書かれています(同紙記事より)

 完成後には競りの様子も見学できるようになり、また安全性はさらに担保されるのでしょう。よって目的に合うような気はします。確かにその結果、魚価がアップするのかもしれません。しかし個人的には最新技術の導入と市場自体の活性化はまだまだ多くの複合的な要因が存在すると思います。

 もう15年も前の話になりますが、私の大学院の修士論文は証券市場の電子化を扱ったものでした(博士論文は中小企業金融です)。また現在も使用されている某大学の社会人向けWEB通信科目では「ITビジネス論」を担当していることからも、最新技術の導入が市場の活性化や魚値にどのような影響を与えるかは、少なからず興味を持っています。証券市場の場合、立会場の廃止による電子化はインサイダー取引を防ぐことや情報開示、伝達に大きく寄与しましたし、電子化自体は売買委託手数料の大幅な低下をはじめ、証券会社のビジネスモデルを変貌させました。

 なお先日、Facebookでは触れたのですが「市場」の日本語(かな)の読みは「いちば」と「しじょう」があり、上記のような魚市場の場合は、「いちば」でも「しじょう」でも意味は通ります(「証券市場」は「しょうけんしじょう」で「しょうけんいちば」とは言いません)。この違いですが、私の場合の使い分けは、「いちば」は実際の現物の取引の物理的な場、「しじょう」を取引のシステムや抽象的な概念という感じで意識しています。

 またわが国の高度衛生管理とは、「取り扱われる水産物の陸揚げから荷さばき、出荷に至る各工程において、(生物的、化学的又は物理的)危害要因を分析・特定し、取り除くためのハード及びソフト対策を総合的に講じるとともに、この取組の持続性を確保するための定期的な調査・点検の実施及び記録の管理を行うことにより、消費者等からの要請に応じてこれらの情報の提供を可能とする体制」(水産庁ホームページより引用)のことです。

 この高度衛生管理は確かに時代の流れなのかもしれません。しかしタイ周辺などの東南アジアの市場(いちば)、一方で欧米や日本の市場(いちば)を比較してみると、前者は衛生管理は高くないものの明らかに顧客のニーズが主導する市場の活性化を実現しており、後者は衛生管理は相当高いのですが主催者による顧客獲得の競争にさらされていることに気づきます。

 このあたり市場活性化の全体最適を考えるうえで、整理すべきポイントであると考えています。

 17日に一旦タイから成田に戻ってきました。タイの地方の市場(いちば)の写真をアップしておきます。同日には帰福せず、翌18日、国の科学技術政策関連の業務でそのまま成田から中国に移動しています。今朝まで北京で、さきほど杭州に入りました。1泊して明日は浙江大学の視察、その後、上海に移動します。

    
 (ウドンタニ中心部、Ban Huaiの市場1)
    
 (ウドンタニ中心部、Ban Huaiの市場2)
 
    
 (ウドンタニからコンケンへ向かう途中のThetsabanの市場1)
    
 (ウドンタニからコンケンへ向かう途中のThetsabanの市場2)

 そういえば出張続きで、2月から3月に変わったことを忘れていました…。
 
    
 (しろたんカレンダー2月から3月へ)