Why can`t I access its website in China!? - SNSは政権にとって脅威なのか?


(どこの洗練された南国に来たのか、と思いきや実は中国の深センです)

 今日(正確には23日の昨日)、早朝に家を出て国内フライト1時間+待ち1時間+国際フライト4時間、午後に香港着、そこからフェリーにて移動、およそ2時間後の夕方に深セン着、ホテルにチェックイン、ネットがつながることを確認してFacebookを見ようと、ぬぬ!? ここはつながらぬ。いくつかのサイトは規制がかかっている模様であることを知って、時間もないので深セン大学の19時からの授業へ。1コマ、日本経済について話をした後、多くの質問に受け答えしたのち、同市の弁護士の方や深セン大学の先生と食事をして今戻ってきました。

 「なぜ中国ではFacebookなど一部のサイトにアクセスできないのか?」について、一般的な回答としては「『アラブの春』のような事態を政府が恐れているから」つまり「SNSは政権にとって脅威」論が強いようなのですが、どうもすっきりしません。なぜならSNS要素のないサイトにも規制があります。明確な政府見解は不明なものの、中国を出たことのない生粋の中国人の方に先ほど以下のような見解を聞いて少しすっきりしました。

 「10億人の子供を、親の役割をもつ政府が守るからです。」
そのように聞いて「ほほぅ」という感じです。決して同調したわけでも、肯定するわけでもないのですが、そういうふうに考えるのかと感心した次第です(正直なところ、無理やり自分たちを納得させているようにしか聞こえないのですが…)。別の方に聞くと
 「不満がないわけではありません」
とも…。

 これは100人の学生を前に授業でも聞きました。「なぜ中国人は(規制に対して)怒らないの?日本ならありえない」と。このような疑問を投げかけたことに対し、教室の反応は様々。ある学生がこう言いました。
「私たちは最初から見ることができません。日本人は見ることが当たり前だから、見ることができなくなったら怒るでしょう」
これまた「ほほぅ、そう来たか」と思っていると、別の学生は、
「そもそも中国にFacebookは不要です。同じサービスがあるので十分です」
とも。これまた「ほほぅ、そう考えるか」と感心します。

 ただね、「それって本当にあなたの意見?」とも言いたくなるわけです。というのも「Facebookにアクセスをしたことのない人が、Facebookと同等のサービスを使っていると認識して、かつ満足できるのか」と…。きっとこの回答もそのように教えられてきたんだろうなぁ(そう回答するような思考の教育を受けてきたんだろうなぁ)と感じました。

 中国政府がインターネットネットに規制をかけることの疑問に対する解決は得られませんでした。しかし上記のような回答を得て、中国人の思考経路が少し理解できた気がします。彼らの回答が正しい、正しくないではなく、価値観の違い、物事の考え方自体が異なって教えられていることからくる(彼らにとって)当然のアウトプットなのかなと思います。根本の思考の教育が異なれば、相容れない対立も出るものなのでしょう。

 私が今日の授業で終始言い続けたのは「今当たり前と思っている常識を疑うこと、それが大切」ということです。きっと数名しか今はしっくりきていないと思います。しかし来たるべき日にこの100名の学生が「あのときなんかやってきた日本人のいっていたことは、このことか」と思ってくれたらいいなぁと。

    
 (今日は深セン大学の「日本経済と企業文化」という授業の中でお話をさせていただきました)

 そして案の定、この質問が授業後に出ましたよ。
尖閣について、先生はどう考えていますか?」
と。さらに、
「日本人はなぜ尖閣に敏感なのですか?尖閣はそんなに大事なのですか?」
ともきました。深セン大学の先生は私を気遣ってか、遠慮気味な対応を取ろうとされましたが、何も悪い話をしているわけではありませんから私のほうからつづけました。
「中国でどのように報道されているかは知らないけど、日本は中国ほど敏感じゃないよ」。
「でも国が買いましたよね」と返ってきました。
「(いままで島を購入なんて考えもしなかった)日本が、あの時、なぜ購入を決定したかを考えてごらん?何にでも原因があり結果が出てきます。日本が購入せざるえない中国側の行動、それは何かな?」と一旦返し、もちろんその後、
「わからない」
というので「あなたたちはきっと(そのことを)教えられていないのだから、わからないのは仕方がない」と。そして国連調査で尖閣辺域に大量の原油の存在の可能性が指摘され、突如始まった中国の主張から説明しました。ここの話は少々長いので省きますが、最後にストローで日本海日中中間線からガスをチュウチュウ吸うのもやめて欲しいと付け加えておきました。このガスチュウチュウも相当な理屈をつけた教え方がされていて驚きました。

 終始和やかな雰囲気で会話するよう心がけましたし、実際に和やかでした。何より嬉しかったのが、彼らは真剣な表情で、しかも私が言葉を発するたびに何か新しい情報を得たかような反応を示してくれます。

 もちろん授業に関係する日本のIT産業についての質問なども出ました。その質問などは話しやすいのですが、また尖閣の話も私は嫌いではないので(むしろ私のほうから言いたいぐらいですから)問題はなかったのですが、一番困ったのは最後の質問です。

 「(授業で日本のバブル経済崩壊後を扱ったことから)先生は今の中国の経済をどう思いますか?バブルですか?もう危険ですか?」というものです。これは白黒はっきりいえるものではありませんので、基本的なところで、「投資という供給が実際の需要に対応する範囲のものである間は大丈夫でしょう。もし既にそうでないのなら…」という回答にしています。

    
 (深センの風景1、7年ぶりの深セン訪問です、すっかり変わっていてびっくり)
    
 (深センの風景2、綺麗な表通り)
    
 (深センの風景3、同じブロックを表通りと裏通りの両方から見ると興味深い)
    
 (深センの風景4、右のマンション群は北京でも上海でもみますよね)
    
 (深センの風景5、ここは「海上世界」周辺です)