What is the definition of "Financial literacy" ? - 金融教育の深化について

 先週末の土曜日は大阪商業大学でパーソナルファイナンス学会の西部部会が行なわれました。
    
 (大阪商業大学の風景、綺麗な構内です)
    
 (大学の教育サービスも顧客第一です。教員が在室か不在か1階ロビーでわかります。ロビーの電話で訪問可能か否か確認できます)
    
 (教員の居室がある建物の1階ポストやロビーを見ると、小洒落た分譲マンションのような雰囲気です)

 私は本学のある先生の発表の補佐的な立場で参加したのですが、フロアーからの質問に「金融リテラシーの定義は?」というものがありました。

 日本でもいくつかの先行研究で定義づけがなされていますが、従来は正しい金融知識の情報を教授することとして扱われていました。また道徳教育と区別する考え方も一般的でした(図表1、第1行)。

(金融教育の深化と類型(簡易),竹本(2013))
 

 私は2009年の学会発表で、道徳教育を知識教育と並列に示したものとして金融教育を唱えました(図表1、第1〜2行)が、それらを含めても金融教育は完全なものになっていないという思いをもち(第2層止まり)、同年の京都大学若手VBL研究助成を受けたことを機に、行動による経験教育の前提となった「ICTを用いた教育システム」を提言しています(2010年研究成果報告会発表、図表1、第1〜3行)。また2011年、2012年とデジタルゲームを用いた能動的行動により、情報を与えられる教育から、行動に基づき経験を得る教育への試行を行っています(2011年、2012年学会発表)。その際に経験を得るプロセスは多人数同時参加型のインタラクティブ性(他者からの気付きによる理解、図表1、第4行)が作り出す仮想経済に注目しました。

 このような研究の発展(方向)が正しいのか否か、必ずしも確信がもてない状態でしたが、2012年6月にOECD経済協力開発機構)のInternational Network on Financial Educationが、金融リテラシーについて、以下のような定義づけを行っています。

OECD definition of financial literacy
“Knowledge and understanding of financial concepts, and the skills, motivation and confidence to apply such knowledge and understanding in order to make effective decisions across a range of financial contexts, to improve the financial well-being of individuals and society, and to enable participation in economic life.”(OECD発表の定義2012年6月)

 つまり、知識、スキル、意識、行動の全てという定義づけです(図表1、第1〜3行)。これを知り、今の研究の方向性に自信を持ちました。そして2012年度後半に本学の試作開発助成を受け、学外のプログラマーの方の助力を得て同教育の実践に関する試作プログラムを作っています(2013年4月リリース済)。また本年度より行動による教育介入に注目した金融リテラシーの醸成について、科研費による研究をスタートさせています。

 金融教育というのは、通貨制度というテクロノジーを人類が獲得したときから存在するのでしょう。その深化も年々進んでいます。といいますか、率先して進めなければいけないと思っています。