Which do you like, production or sale? −入学時点でビジネスの志向は考慮されている?

 昨日、授業出席者132名に以下のような「生産か販売のどちらに興味があるか」(とそれに関連させたい質問)について、アンケートをとりました。目的はこの質問と他の項目の関係なのですが、とりあえずこの質問の結果だけを見ると…。

 
   

 想定された通り、工学部生のほうが教育地域科学部生より明らかに生産(ものづくり)志向が強いのですが、下のグラフを見ると、それが大学4年間ほぼ変化しないことが予想されます。同じ学生を時系列で追わない限り断言できませんが、もしそのように考えると、大学入学前からビジネスに対する志向と学部選択ははっきりしており、しかしながら大学に入学後は大学教育の影響がこの志向にあまり影響しないということになります(少し生産志向に動きつつあるのが、工学教育の成果と言えるかもしれません)。
 このことが良いことか悪いことか(高校までのキャリア教育が良いのか、大学教育にもっとキャリア教育的要素を持たせるべきなのか)の明言は、当該結果だけから述べるのは尚早ですが、私としてはどちらも含んだ曖昧な状態を示してはいないかと感じました。

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 話は変わりますが、先週、学内の会議で、入試選抜方式別の入学後の学生の履修成績との関係についてデータが示されていました。ある入試方式において入学後の成績が他の方式に比べ良くないという指摘がされていました。その指摘をみて疑問に感じたことがあります。「旧態依然とした成績評価(物差し)で新しい入試選抜方式の学生を測ろうとしている不自然さ」になぜ気をとめないのだろうという点です(ずばり言えば、ある入試方式で入学した学生を評価できない物差しで測っているわけですから、出るべくして出た分析結果であるということです)。

 その選抜方式を取り入れようと決めた当時の教育の理想に立ち返り、学生が入学後も、その理想を大学教育内容及びその評価に入れることで、結果は大きく変わるでしょう。個人的な視点でモノを述べさせていただくと、(欧米ではなく)東南アジアへの海外短期留学に行こうとする気概のある学生などを今とは別の物差しで評価すれば、その中には素晴らしく優秀な学生が本学にはいます。

 もっと分かりやすく言うと、企業経営を経験したものとして、その視点で見た場合、「自社に欲しい学生」は旧態依然とした成績評価と相応のズレが存在することは事実です。このズレが解消されたとき、きっと大学教育は今よりも社会の信頼を得るのではないかとも思いました。少なくとも私は、企業経営を経験したものとして、学生教育に対しその視点を失わないように心がけたいと思っています。