Fundamentally, these two words completely differ. ー 「タイ+1」と「チャイナ+1」は根本的に考え方が違います。


(東京では一足早く桜が咲いています)

 今日はある先生と打ち合わせがあり、早稲田大学に来ています。行き先がアジア・太平洋研究科でしたので、よく訪れる商学部のある本部キャンパスと同じかと思いきや、なんと本部キャンパスではあるものの、その西側のこのビルでした。最初は普通に何かのオフィスビルと思い通り越していました(笑)

    
 (普通にJR高田馬場駅から本部キャンパス構内へ向かう途中、横目に見ながら通り越していました)
    
 (戻って確認、「あ、ここだw」 ビル裏の桜も綺麗です)

 今回の打ち合わせ内容(今年の国際学会のお話だったので)とは関係ありませんが、アジア・太平洋研究科に訪れたということで、ふと思い出したことを書きます。

 私は2年ほど前から、タイだけでなく「タイ+1」諸国にも足を運び、少し注目しています。「チャイナ+1」という言葉はチャイナリスクを避けるという意味で、普段のニュースなどでもよく耳にするようになりましたが、「タイ+1」とは「チャイナ+1」のようなネガティブな意味ではありません。

 経済回廊が開通したことで、日系企業はタイだけではなく、タイ周辺国にもタイを拠点とした更なる下請工場を作る動きが出てきています。もちろん経済回廊ができただけでは、そのような動きになるにはまだまだなのでしょうが、タイの企業にヒアリングをするとその意図が明確になります。それはタイにおける人件費の高騰です。2012年は最低賃金が300バーツ/日へと実に4割近く急上昇したことが挙げられます。

 では具体的に「タイ+1」の対象国はどこかというと、ミャンマーラオスを挙げることができます。カンボジアベトナムを含めて、その国々の頭文字からCLMVと呼びます。東南アジアの日系企業の産業現場では、既に教科書に書かれているようなタイ、中国、ベトナムへの生産の空洞化という悠長なレベルではありません。タイよりも更に国民1人当たりのGDPが低い(人件費が安い)国々に労働集約型の工場をシフトさせているのが、まさに今の日系企業(世界的にも)の現状です。

 そのように述べると、「では中国の次はタイ、そしてタイの次はミャンマーラオス?」と思いがちですが、その考えは違います。「まずはタイ!」(「腐っても鯛」という意味ではありません。タイは本当にますます重要な拠点になるでしょう)というのは2013年も変わらないでしょう。例えばタイを飛ばして、いきなりラオスというのは少々リスクを伴います。

 中国と違い、いくら親日国家の多い東南アジアといえども、私がラオスミャンマーを見て回ったところでは、まだまだ電力、水道をはじめとする産業インフラ、労働資源(勤労という意味での国民性を含め)、政治リスク(特に軍事政権、社会主義)など、課題は多く残っているようです。つまり「タイ+1」諸国への進出の意図というのは、タイを中心として、移せる部分は一部だけその周辺国にという意味をもちます。

 ベトナムは相応の投資環境が整ってきています。マレーシアもベトナムと同様に、既に進出企業が多い地です。シンガポールは述べるまでもないでしょう。

 そのような意味で、2013年度の私の注目としては、タイはもちろんです。ミャンマーラオスも引き続き注目です。加えて可能であればカンボジアバングラディッシュベトナム、マレーシアもモニタリングしたいと思っています。