Why don't we get to it right now? - すぐに読みました!

 先日、京都大学産官学連携本部の木谷先生のお部屋を訪問しました。その折に頂いた書の内容が興味深いものでした。もちろん本は頂いたら、"Why don't we get to it right now?" とばかりに、すぐに一気読みです。読みだすと面白い!起業家なら「『その通り』と思っていながら、明文化したくても、なかなかできない」ような核心をついた内容でした。

    
(左/木谷先生の著「成功はすべてコンセプトから始まる」です。右/もちろんサインも頂きました!)

 その明文化について、木谷先生は「コンセプト・ドリブンの思考法」と表現されています。対する思考法として「実現可能性ありきの思考法」とされています。

 「コンセプト・ドリブンの思考法」とは、「大きなインパクトをもたらす将来像に焦点を当て、それをできるだけカラフルにイメージする。前例のないことで困難はあるだろうが、それを実現するためにハードルを超えていく。つまり細部はこれから詰める」(同書35p)ような発想で、「ひょっとするとうまくいくかもしれない。うまくいった場合には、すごいインパクトがあるはず」(同書47p)なものです。具体例は同書にいくつも出ていますので、興味のある方は読んでみてください。

 「実現可能性ありきの思考法」は、大学に転職をして、確かにその存在を激しく感じます(それまでどれだけ好き放題にしてきたのかということですが…)。規定がありき、前例が問われる、という形も、特に大きな組織では必要なのでしょう(決して否定しているわけではありません)。ただしこのような思考は起業を目指す人、研究者には合わない部分が多分にあるのは確かです。

 「コンセプト・ドリブンの思考法」を支持しつつも、「実現可能性ありきの思考法」を完全に否定しない理由は以下の通りです。青年会議所かどこかで最初に学んだ話なのですが、「型破り」という言葉は「型」を身に着けた人が使う言葉であり、その場合はクリエイティブです。しかし「型」を身につけない人が突飛なことをすれば、それは「型破り」ではなく「形無し」であると。この考え方から、知らないものを否定するのではなく、まずは黙って「はい、喜んで」といって行動することが大事です。今でもできる限り会議や学会は、まずは1回は出てみることを心がけています。さらには「だされたご飯はきちんと食べる」ことも大事ですね^^;

 私はこのような考えから、「コンセプト・ドリブンの思考法」とは「実現可能性ありきの思考法」を理解の上で実現するものなんだろうなぁと思います。この書の内容は後期のキャリア教育の授業にも関係することが多いので、参考にしたいと思います。

 ビジコン(ビジネスプランコンテスト)やアイデアコンテストの審査をしていると、特に合議審査では、実現性とユニークさの狭間で判断を迷うものが多数存在します。そんなときに「確実でなくても実現『可能性』を伴った、ワクワク感を感じさせる」アイデアやプラン、そういうものをどう表現すべきか迷っていたのですが、そこに通じる思考法だと感じました。

 ちなみに私はユニークさ寄りで審査をしますが、工学系の先生の中には実現性を厳しく見る方もいらっしゃいますね。