「キャリア・アントレプレナーシップ」と「日本人アイデンティ」、「グローバル・キャリア志向」

 今月の8日からのタイ・ベトナムでの調査に向けて、「海外展開型産業人材(グローバル産業人材)の育成プログラムの構築調査」について、その計画を進めています。タイでの調査に参加していただく研究員さん、院生の方々には、「労務管理」「アイデンティティ」「海外志向精神の国際比較(グローバル・キャリア志向)」「学習効果」という4視点のテーマを割り振っているのですが、その割り当ての意図は、私が当該調査を「キャリア・アントレプレナーシップ」の視点から結論を求めていることによります。

 「労務管理」の視点に関しては、海外展開企業に関する多くの研究があり、当調査でもそこからアプローチすることを想定しています。「学習効果」は、言うまでもなくプログラム構築には欠かせない視点です。

 では当調査における「グローバル・キャリア志向」や「日本人アイデンティ」位置づけはどのようなものでしょうか。実はこの2テーマについて、これは文部科学省グローバル化に対し日本アイデンティティをその一つとして掲げているから設定したというだけではありません。この部分に対する説明では私の想いをウダウダ書くよりも、目的や内容は全く異なるものの、基本となる考え方が非常に近い崔先生の書「アントレプレナーシップ−韓国起業家精神のダイナミズム」から引用させていただくほうがすっきりします。

 「経済のグローバル化やボーダレス化が進み、異文化間における企業活動の相互依存関係が拡大していくなかで、ともすれば一方的に「海外文化」化が強調されることが懸念されるのであるが、海外文化とのハイブリッド化を念頭におきつつも、自国の固有文化から形成された企業家精神の原動力となるものを究明していくことは重要な研究課題の一つ」(同書189頁)という考え方に非常に近いものがあります。なお同書では、当調査の産業人材育成テーマとは全く異なり、韓国における企業家精神についての類型化を行い、史的考察、量的調査(実証分析)と質的調査(LG社)の双方を織り交ぜ展開されています(念のため)。

 特にアイデンティティに関しては、昨年度の調査経験者に割り振ったのですが、それでも事前調査段階でやや苦戦しているようですので、次回の事前研修の際にある程度の方向性を示そうと思っています。

 1週間後に出発です(^−^)