ミャンマーへの大型長期融資の再開は、主要8カ国では日本が先陣!

 本日夜19時頃から先ほどにかけて、日本によるミャンマーへの支援再開の報道が各所で断続的になされています。最も目立つのは、約3000億円の円借款延滞債務の放棄ですが、その他にも野田首相ミャンマーテイン・セイン大統領に種々の支援を表明しています。

[日本によるミャンマーへの支援提示内容]
・25年ぶりの円借款を再開(大型長期融資再開はG8(主要8カ国)では日本がはじめて)
・過去の円借款延滞債務のうち約3000億円の放棄
メコン川流域5カ国(ミャンマーベトナム、タイ、ラオスカンボジア)に政府開発援助(ODA)を拠出

 このような報道を聞くと、「ただでさえ国家財政が破綻寸前の日本において、消費税の増税論議でもめている中、他国への借金債権3000億円をチャラにするなんて、何を考えているんだか?」という感情を持つのが素直なところでしょう。

 ただ今回の表明は、ミャンマーと日本の今後の関係を考えた場合、相応の見返りの可能性も期待できないわけではありません。日本の表向きの姿勢は、「ミャンマー民主化(および同国の経済発展)を推進するために経済面から支援する」というものです。これは建前ではなく、確かにそれもひとつでしょう。

 しかし表向きの理由以外にも、日本にとってミャンマーには大きな魅力があります。現状、天然資源が少ないとされる日本にとって、その資源を豊富に有するミャンマーに、是が非でも日本(日本企業)は食い込んでいかねばなりません。しかしミャンマーへの投資という点では、日本は中国をはじめ他国に後れを取っています。このたびの支援が、日本企業のミャンマー進出に正の方向に働く可能性が考えられます。少なくともミャンマーへの対日感情はよくなるでしょう。すると日本企業は同国で活動しやすくなります。

 経済面だけではなく、地政面でもミャンマーをはじめメコン経済圏は重要な位置にあります。インド洋〜南シナ海は日本の命綱、シーレーンです。しかし中国がミャンマーベトナムをはじめとするこの沿岸の港の整備に乗り出しています。今回の支援を契機として、例えばですがインド洋〜南シナ海の港の租借権等のような権益につなげるという外交も考えられるでしょう。

 このように考えると「大型長期融資再開はG8(主要8カ国)では日本が初めて」という行動はそれなりの評価ができると私は思います。