Is it one of the "Concorde Fallacy" examples? − 朴政権の摩訶不思議な外交について

 最後の切り札としてカードを切ることはありますが、韓国の朴大統領は相変わらず「反日過去カード」(日本に理不尽な要求を突き付けたり、日本を非難することで、国民の人気を維持するカード)を最初から切りまくり、諸外国との外交局面において告げ口外交に励んでいます。今までの韓国の傾向としては、政権の末期に国内の求心力を取り戻す切り札として「反日過去カード」が使われ、一時的に国内支持を復活させようとしたことはありましたが…。先の李大統領も、最後は「反日過去カード」を使い政権維持を図ろうとしていました。

 さて最初から飛ばしていた朴大統領ですが、結果は予想された通り、アメリカに無視され、世界が呆れ果てています。この姿勢をみて、ようやく韓国メディアや同国世論にも危機感が出てきたようです。

 それでも「反日過去カード」を切ることを辞めない朴政権を、最近は不思議にすら感じるのですが、ふと「もしやこれは政治版コンコルド効果かな?」と思うようになりました。

 コンコルド効果とは、一旦投資を始めてしまったことから、それが失敗だと気付いても辞めてしまうと今までの努力が無駄になると考え、投資をやめることができない状態を指します。その結果、より損失を膨らませ、救いようのない結果に陥ることもあります(企業における巨額損失事件の類など)。

 朴大統領は金銭的に投資をしてきたわけではありませんが、最初から「反日過去カード」を切ることで、対日貿易を中心として自国に対し経済的に大きな損失を与えています。冷静になれば、「ごめんなさい」と言ったほうがいいにもかかわらず、そして世界的にも、国内世論的にも「反日過去カード」を切ることで国際的により自国が不利な状況に陥っているにも関わらず、さらに国としての経済的な損失が膨らむとわかっていても、過去の自身の努力を惜しんでか、いまここで辞めることはできないようです。

 朴大統領自身の心理的抵抗で、韓国国民の利益を消滅させる点において、コンコルド効果以上に、エージェンシースラックの問題も見逃せません。つまり自国民から政権を託されたエージェントとして自国の利益を追求しなければならないにも関わらず、私たち他の国から見ると、大統領個人の心理的な満足のために国民を犠牲にしているとしか見えないわけです。

 さて、もっとも仮にここでサンク・コスト(sunk cost、埋没費用:ここで辞めても回収できない損失のこと)を諦めたとしても、経済の世界と大きく違うのはそれだけで済まされないという点です。朴大統領が犯した告げ口外交の醜態により、世界から韓国を見る目はさらに厳しくなりました。これはなかなか元に戻らないでしょう。そのような意味では、経済以上に政治は甘くありません。過去の行為による結果をイーブンに戻すには相応の代償が必要です。

 朴政権発足時は「なんて稚拙な大統領だろう、なぜ韓国の人々はこのような大統領を選出したのだろう(日本も時折、常識や礼節を欠いた政治家を世論が選出してしまうことがありますが)」と、少々の怒りと呆れが混じった感情を持ちましたが、告げ口外交が続くにつれ不思議に思うようになり、ここにきて韓国の孤立状態をみると憐みと哀愁さえ漂います。

 私たちも普段の生活や仕事上の付き合いにおいて、自己の満足と納得のために、損失を膨らませるような稚拙な行動は避けたいものです。相手を尊重し、素直に頭を下げれば、事を荒げるような事態も避けることができるわけです。

 実るほど 頭を垂れる 稲穂かな