Is it considered that cotton candy shop "Fuwari" is one of the "Online 2 Offline" business models? −「綿菓子屋さん ふわり。」さんはO2O?

 面識はないのですが、福井ご出身の方で、福井で起業後、東京に移られた方に「綿菓子屋さん ふわり。」を経営される30代の方がいらっしゃいます。少し前から話題になっていたので気になっていました。

 自称「30代の元無職の人生詰んだおっさん」とのことですが、ウェブ上での掲示板に「綿菓子屋をはじめる」と宣言し、その開業から現在の日々の売上や出来事をウェブ上にアップしてこられました。ウェブでの情報が話題を呼び、実際に営業する東京都内の店舗(ウェブ上の情報では1月末より移動店舗か何かの形態に変更されるとのこと)に人を集めるきっかけになっています。最近ではその他のマスメディアにも取り上げられ、メディアミックス状態になっています。

 気になっていたのは綿菓子屋さんであるとか、福井ご出身とか、起業されたということではなく、このビジネスモデルといいますか、そのようなものが、今話題の"Online 2 Offline"といえるのかどうかです。

 "Online 2 Offline"は"On 2 Off"とか"O2O"と略されますが、ウェブ上(オンライン)での広報や仕掛けにより、実在のお店の売り上げ等に影響を与えるマーケティングやビジネスモデルのことを指します。具体的にどの商品、どのお店や地域の売上を上昇させるかがわかりやすいモデルであることが特徴です。先日上場したコロプラというゲーム開発会社がこのビジネスモデルで好業績を上げています。

 これまでの中であえて近い表現を探すと、"brick & mortar(ブリックアンドモルタル)"をもじった、一昔前によく使われたITビジネス用語"click & mortar(クリックアンドモルタル)"です。これは電子商取引にて、店舗販売とウェブ販売との両方を組み合わせたモデルの事でした。

 または統合マーケティングコミュニケーション(Integrated Marketing Communication)のひとつとも言えます。こちらはオンラインからオフラインという流れや関係性にとらわれずに、広く様々なメディアミックスを行うものです。また概念的なものですが、目的は明確です。ウェブやマスメディア、対面営業、紙面広告などを、戦略的に統合し販売方法を構築することを指します。

 「ふわり。」さんのモデルは、様々なメディアを自らの戦略で統合しているというようには見えませんので、統合マーケティングコミュニケーションには近いものの、どちらかというと初期の"Online 2 Offline"に近い形がします。今のO2Oほど凝ったものではなく、緩やかなオンラインとオフラインの融合です。

 もしかすると「ふわり。」さんのモデルはもっと古典的といえるかもしれません。本来の株式会社の誕生の概念的な形態に近いとも言えるからです(概念的でない形態は、もちろん現実的にお金を出す出資者が絡んだものです)。出資者ではないものの、周りの人が会社設立時からファンとして応援し、そのファンは今も事業の成長を願い、中には店舗に寄って購入する。昔も今も理想的な会社応援の形です。

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 来週はセンター試験ですね。近年は受験生が減り、大学も昔のようにただ受身で志願者を待つ姿勢ではいられなくなりました。先日面白いウェブ上の記事を見ました。近年、志願者を増やしている大学が、立教大学芝浦工業大学武蔵野大学なのだそうです。少々意外ですね。

 記事によると立教大学は、古典的な学問分野である法学部、経済学部、社会学部、文学部、理学部の5つの学部体制から、今の社会ニーズに対応し、異文化コミュニケーション学部、経営学部、観光学部、コミュニティ福祉学部、現代心理学部を新設し10学部体制にしたところ、受験生は2万人超え、1.5倍の志願者を確保するに至ったそうです。ビジネス系という学問が今の日本の世の中を考えてか、受験生から受けが良かったのでしょうか。芝浦工業大学も2学部から3学部に、武蔵野大学も1学部から8学部にしています。

 売上自体を上げるだけであれば、例え全体の販売個数(大学でいえば定員数)が変わらなくても、ラインナップを多様化すれば、取りこぼしていた顧客ニーズをすくい上げることができるのは当然のことです。いつまでも昔の枠にとらわれず、的確にニーズの多様化に応えること、このことが大学経営にも求められています。