How serious is the situation exactly?−「どんくらい深刻なん?」 時代は金融派生商品へ

 三大勢力というと、「偉大なる航路」に君臨する「海軍本部」と「王下七武海」、そして「四皇」!というのはアニメONE PIECEのお話(^^

 昨日、ロイターで"ICE to buy NYSE Euronext for $8.2 billion"というニュースが流れましたが、今日、日本でも話題になっています。ICEとはアメリカのインターコンチネンタル取引所のこと、NYSEはもちろんニューヨーク証券取引所です。「ICEがNYSEを82億ドルで買収」といわれてもその規模にピンときませんが、約7000億円弱、取引所って想像以上に価値があるものですね。

 しかしそれだけの価値がついたNYSEですが、実は昨年はドイツ証券取引所との合併話が破談(独禁法による欧州委員会の判断,2012年2月)に終わっています。ただこのときの私の中の衝撃は、「ニューヨーク証券取引所といえば超ブランドであるにも関わらず合併?」というものです(私が学生時代、はじめて海外に一人旅をしたとき、世界でトップのこのNYSEを見たいと思って、ニューヨークまで行きました)。

 そのNYSEが何故か身売りを焦っていた。その理由は市場の取引に対する流行の変化です。株式現物取引に強みをもっていたNYSEですが、各種報道で「投資家の株離れ」「現物株取引が低迷」「国際的な取引所間競争」とされるように、実はここ数年の環境変化でNYSEにとってどれだけ状況が深刻になっていたかがわかります。一方でICEはデリバティブ商品に強みをもつ取引所です。売り上げではNYSEに到底及ばないものの、時価総額が大きいことから、小が大を食う形になりました。ITバブルと言われた時代の時価総額経営の手法を思い出します。

 合併後の単純足し算の時価総額では、取引所では世界3位に、香港取引所、CME(シカゴマーカンタイル取引所)とともに3大勢力になります。3位、3大勢力といえば、ふと思い出すのが先日発表され来月2013年1月に実現する予定の日本取引所グループの誕生、つまり東京証券取引所大阪証券取引所の合併です。「証券取引所の上場時価総額ではNYSEユーロネクスト、ナスダックOMXに次いで3位になるかもなど」と言われていましたが、今回の発表とは規模が違いますね。

 話を日本に向けると、この東証大証の合併、素人目には東証に分があるように見えますが、今回のICEがNYSEを買収した背景、NYSEが身売りを焦った件を冷静に見てみる必要がありそうです。株式取引では、大証東証の足元にも及ばないのは確かなので、東証のほうが将来的にも遥かに強いと見えがちです。しかし実は大証の強みは金融デリバティブ取引です。2011年は大証単独で商品先物取引を除く金融デリバティブ取引の取引高において世界12位(Futures Industry Association「2011 Annual Volume Survey」)です(東京金融取引所が16位、そして東証大証のわずか8分の1で圏外)。

 時期がもう少し遅ければ、東証大証の合併ではなく、今回のICEとNYSEのように、大証東証を買収する形になっていたかもしれません。つまり新興の取引所であるICEが、超老舗ブランドで売り上げ規模も大きいNYSEを買収したということは、それだけインパクトがあるということです。

 ちなみにICEはNYSEに上場しています(ややこしい?)。

P.S.
 「竹島の日の式典、政府開催を見送り」って、ちょ。政権奪還とともに、さっそく有言不履行ですか(><)。決定に否定まではしないけど、「政権を担っている間に実現に向けた雰囲気を醸成していくのが先決だ」(石破幹事長)というなら、選挙前からそう言いなさいって。そこに期待をして自民に投票した島根をはじめとした人々の気持ちはどうなる?