コンプガチャの何が法律違反?−質問に答え忘れた件

 先週の授業(学部生)で、コンプガチャ問題について触れました。要点は以下の通りです。

コンプガチャは、いわゆるリアルのガチャガチャ(カプセルトイ)のビジネスモデルの電子版のようなもの。
・そもそもガチャガチャ発祥の地はというと…、「こんなオタクなものは日本じゃないか?」と思ってしまいますが「実は」アメリカ。受講者は一瞬「え?」っていう反応でしたが、アメリカにおける「ガムのガチャガチャ」が発祥というと納得した様子。
・日本に入ってきたのは1965年、スタンレー・シャーレット氏と広瀬久照氏が共同で有限会社Value Merchandiseを設立したことがはじまりと言われている。
・本題のコンプガチャ、正式にはコンプリートガチャですが、こちらは携帯電話のゲームの一つで、ガチャガチャから出てくるカプセルトイのようにランダムに入手するアイテム(非リアルなアイテム)を揃えるもの。リアルのガチャガチャとの違いは、一定のコレクションを完成させることで稀少(とされている)アイテムと交換できる(システムである)こと。
・「ビックリマンチョコと同じだから問題ないじゃないか?」と一瞬思うものの、コンプガチャは法律に抵触するとされる。

 「法律に抵触する、その理由は?」と教室にと問うと、挙手してくれた一学生は「本物の景品が出てこないから」という回答(普通、まずはこう思うものですね)。しかし実はそうではありません。

 「コレクションをコンプリートして、新たに景品と交換する」という仕組みが、「花合わせ」ならぬ「カード合わせ」になり、このシステムが賭博と認識され、景品表示法に触れるというのが正解。

 授業ではここまでが前振りで、このあとグリーとDeNA社のこれまでの利益率の高さ、売り上げ・利益ともに急成長を遂げてきた履歴、それに伴う株価の推移と、今回の情報による株価の下落について考えました。アメリカのソーダ禁止条例が株価にさほど大きな影響を与えなかったこととは単純に比較ができませんが、日本の市場におけるこの2社の株価の乱高下(正確には「乱低上」か?)は、投資家の過剰な反応を示したともいえます。

 さらに「同ビジネスには返金問題が浮上する可能性もあり、今後にも注目です」ということで、この話題は締めました。

 このような先週の話を受けていくつか質問が出ていたのですが、「グリーやDeNAがしたことを、規制が緩い国ですればいいのではないでしょうか?」(情報メディア学科 Kさん)というものです。今回のコンプガチャに関する件はモラルの問題がありますが、考え方自体は否定しません。税金(タックスヘブン税制)の考え方がそれに近いです。税金の安い国に移転するという(籍を置く)というやり方ですね。こちらは本日の授業でも回答しました。

 今日、回答し忘れたのはこちらの質問です。チョコボールは法律違反にならないのですか?」(電気・電子工学科 Tさん)これもいい質問でした。チョコボールの例では、「銀のマークなら5枚集めれば『おもちゃの缶詰め』(だったかな?)と交換」してもらえます。何が違うかわかりますか?コンプガチャとの違いは、同じものを集めるか、異なるものを集めるかです。当然後者のほうが(おそらく)射幸心を煽るのでしょう(コンプリートするのが大変なんだろうというところから、お金をつぎ込んでしまうとの見解がおよそ的を得ているんじゃないかと思います)。

 授業後、散歩がてら少し遠出してランチに行こうと歩いていると、ふとこのいい質問に答え忘れていたことに気づきました。Tさんがこのブログをみていない可能性のほうが圧倒的に高いのですが…、取り急ぎ回答しておきます。

 
 (大学から歩くこと15分ほど、お洒落なお店を発見。「本日のランチ」ですが、これにアイスコーヒーがついて950円です。少し気に入りました。最初、黒いのが何のソースかわからず、お店の人に「これ何にかければええんですか?」と問うと、「あ、デザートのコーヒーゼリーです」と…。少し恥ずかしかったです。)
 
 なお、本日の授業で平均2〜4名程度でグループを組んでもらい、合計39チームに以下の質問をぶつけました。

コンプガチャでDeNAやグリーへの業績への影響が心配されています。一方で同じゲーム関連ではありますが、今までカプコンスクウェア・エニックスなどの他のゲームソフト制作会社はSNSに押されてきました。では今回のコンプガチャ問題は、他のゲームソフト制作会社にとって、プラス要因かマイナス要因かどちらでしょうか?

 学生の回答結果は以下の通りです。プラス要因と回答25チームマイナス要因と回答14チーム。う〜ん…、プラスにとった人が多いか…。要は競合関係だけでなく、産業全体としての「需要(曲線全体)の変化」の影響をどう考えるかなんですけどね(笑)。