切り餅「切り込み」特許対決、本日判決ですが…

 昨年9月8日に記載したブログ「福井大地震に耐え抜いたコシヒカリ 〜切り餅知財係争の軍配〜」(リンク)にて、業界2位の越後製菓長岡市)が業界1位のサトウ食品工業新潟市)を訴えた切り餅特許権侵害訴訟について、2011年9月7日に1審の判決が覆り、越後製菓に軍配が上がったことに触れました。これはサトウ食品工業の切り餅に施されている上下側面の「切り込み」が、越後製菓の側面の「切り込み」の特許権を侵害したとして、越後製菓が訴えを起こしていたものです。餅の「切り込み」特許対決でした。

 本日、先ほど、サトウ食品工業「判決は、控訴人の請求(合計59 億4000 万円の損害賠償請求、当社製品の販売差止請求等)の一部を容認し、当社に対し、8 億275 万9264 円及びこれに対する遅延損害金の支払い、請求の対象とされた当社製品の販売差止め等を命ずるものです」(同社IR)との発表がなされています。どうやら今回も越後製菓の主張が通ったようです。

 しかし請求の一部とはいえ、8億円の支払い命令は大きな金額です。平成24年4月期のサトウ食品工業の業績予想(平成23年5月1日〜平成24年4月30日)は本日時点で売り上げが268億円(前年比△0.9%)営業利益9.5億円(前年比△13.2%)、経常利益13.1億円(前年比18.4%)、当期純利益7.4億円(前年比58.9%)ですから、サトウ食品工業の年間の最終利益が吹っ飛びます。

 同社は知的財産高等裁判所は、当社の主張の最も肝腎な部分(当社が控訴人より先に発明を完成させていたこと)を主張させず、さらに、当社の提出した証拠の大部分の取り調べ申請を却下したまま、本判決を下しました。当社としては、中間判決における判断は無論のこと、このような経過で当社に主張をさせなかった本判決に強い不服を有するものですので、上告を提起し、当社の主張が十分に検討された上で真実に基づいた正当な判断が得られるよう、引き続き主張して参ります。」(同社IR)としています。

 同社としては、切り餅が主力製品である以上、実は年間の最終利益が吹っ飛ぶどころの騒ぎではありません。この再主張は社運を賭けた当然の行動と言えます。再度判決が覆るか、引き続き注目です。

 
 (タイの水上マーケットで見つけた看板の絵)
 
 (餅ではないのですが、かわいかったので…)