数字だけでは比べられない?−スペインの2011年公的赤字GDP比8%超えの可能性

 昨年後半からスペインの2011年公的赤字の目標未達について噂されていましたが、今日の報道でも「対GDP比8%超えの可能性」という話がでています。そもそも数字だけでは、それが危機的なのかどうなのかはわかりにくいものです。

 日本と比較しましょう。日本では対GDP比で、2006年から順に▲3.5 ▲2.8 ▲3.3 ▲9.3 ▲8.5 ▲8.7 (単位%, 数値は財務省ホームページより)となっています。つまり2011年は8.7%、この3年はずっと8%を超えています。

 このような比較をすると、「あれ?日本のほうが悪いよね。」となります。しかし日本がスペインほど危機的でないことについて、ある人は「スペインと日本ではGDP規模が違う」といいます。しかしそれで説明がつくものでしょうか。つまり年収500万円の人の借金40万円と、年収1000万円の人の借金87万円のインパクトの違いということなのでしょうが、どうもこの説明もしっくりきませんね。

 そもそも累積赤字(債務残高)で見ると、スペインは対GDP比で100%そこそこというところですが、日本は2011年にとうとう200%(2倍)超えをしてしまいました。実は「GDPの規模」でいえば、もっと深刻なわけです。

 実際には日本も恐ろしく深刻なのですが、日本が(スペインに比べて)まだここまでいわれないのは、やはり日本国債が国内で消化できてきたからという話になります。また規模ということでいうならば、海外債権などの保有する資産規模の違いが挙げられます。

 しかし以前にも記載のとおり、既に日本国債の国内消化は限界に達しようとしています。となると、今後は海外に頼る消化という道になります。格付けもその金利も厳しくなるでしょう。遅かれ早かれ、スペインや一部の欧州の国の現状は日本の近い将来の姿といえそうです。

 そうなる前に、といいますか議論する余地もなく、可及的速やかに対策を講じねばなりません。