そこにどのような義があるのか?−都教祖の思想を問う

 どのような思想にも当然根拠があります。またその思想へ賛同者を募るに際しては、「義」が必要です。

 例えばあの第2次世界大戦後の日本共産党でさえ、(主張の賛否は別にして)彼らなりの「愛国」という「義」が存在しました。ですから少なからず賛同者が存在したのだと思います。

 当時の日本共産党が唱えた「愛国」とは「二段階革命論」です。アメリカを解放軍とみなし(ただしアメリカに対し「アメリカ帝国主義」とみている)天皇制を打倒し(第1段階)、その後社会主義革命を起こす(第2段階)というものです。今の時代から見返すと、かなり無理があると思える「二段階」ですが(これに対し日本社会党は直接、社会主義革命を唱えます)、それでも彼らなりの「義」は理解できます。

 もっとも「真の愛国者共産主義者で、東条英機第40代内閣総理大臣天皇に対し非国民や国賊よばわりする」ような、敗戦結果論からの野坂参三の主張には同調できません。日本国の現在と将来、日本国民を想い行動した人物は当然みな愛国者です。

 さて、このように思想には「義」が存在します。しかし東京都の教職員組合に関する下記のニュースはいかがでしょうか。

〜引用ここから(msn産経ニュースより)〜
都教組「竹島、日本領と言えぬ」内部資料で政府見解否定「歴史的根拠ない」10.28 11:09
 東京都教職員組合(都教組)が今夏の中学校教科書採択にあたり、教員向けに各教科書を比較検討した資料の中で、日本固有の領土である竹島について「日本領と言える歴史的な根拠はない」と、日本政府の見解を否定していたことが27日、分かった。公教育の現場で誤った領土認識が教えられている疑いがある。
(中略)
 教科書の採択権は各教育委員会にあるが、現場の教員が各教科書の特色などを調査した結果を参考に採択される。都教組では、資料によって組合の意向を採択に反映させる狙いがあったとみられる。
 百地章日大教授(憲法学)は「教育基本法に基づく学習指導要領を無視し、自分たちのイデオロギーを採択に反映させようとするもので、教育への不当な支配にあたり同法違反の疑いがある」と指摘している。
 都教組は産経新聞の取材に対し「竹島についての記述は日本政府の見解だけでなく、相手国にも意見があることを子供たちに教える必要があるという意味で書いたもの」としている。
 東京都教職員組合(都教組)が教員向けに作成した各教科書の比較検討資料は、日本政府の見解である竹島の日本領を根拠なく否定するなど、反政府的な組合のイデオロギーを採択に反映させ、子供たちに押し付けようとするものだ。
(以下略)
〜引用ここまで〜

 都教組の「狙い」はともかく、そこに「義」は見えません。ましてや、産経新聞の取材に対する「いいわけ」が、この言葉の通りであれば、「義」の存在どころか「お粗末」としかいいようがありません。

 東京都の公教育における都教組の力がどのようなものかはわかりませんが、このようなニュースを知ると、東京都の公教育への不信感を持ってしまいます。多くの公教育が日本の将来を想い真剣に取り組む中、一部の団体による同件は公教育全体への信頼をも揺るがす可能性があり、非常に残念です。