それは中国人の妄想です

 「中国の産学連携は、すでに日本の産学連携を追い抜いてしまっているかもしれない」(発表者事前フルペーパー)ということだそうです。これは本日、大阪で行われた第1回アントレプレナーシップ・コンファレンスにおける、ある中国人発表者によるものです。
 まず誤解が生じないように、また発表者に失礼にあたらないように、きっちり述べておくと、発表者が発したこの言葉の前提は、「大学自らがアントレプレナーシップを持って、企業とともに、競争力を作りこむことに力を注ぐ時代」(発表者事前フルペーパー)が到来したと主張していること(その根拠としてアメリカにおける1980年代のアメリカにおけるアカデミック・キャピタリズムの傾向を挙げています。ただしこのアカデミック・キャピタリズムは全米的なものではありません、念のため)があり、「大学はもはや、市場の内部の不可欠な一員として、経済発展のエンジンの役割を果たす」(同)ような大学と市場の関係についていえば、中国のほうが日本より先行しているということのようです。
 私は大学の役割について、発表者の考えを否定するどころか、むしろ「大学はもはや、市場の内部の不可欠な一員として、経済発展のエンジンの役割を果たす」(同)ような大学と市場の関係の必要性については、同調できます。しかし「産学連携」や「大学と産業創出」における形態は、多種にわたり、その点(大学を市場の一員として参加させるという点)のみを主要なスキームとして論じる(そしてその点だけで比較する)ことができるほど単純なものではありません。
 アメリカの大学の過去の一例(アメリカの大学のスタンダードではない)を取り上げ、その部分をもっての比較において、このような発表の括りを聞くと、多分に違和感を覚えます。ですので、言いたいことはわかるのですが、どうしてもそれは「中国目線での話(中国が先行しているということを言うための論理展開と、都合の良い部分を取り出した比較)」であり、端的にいえば「中国人の妄想」です
 先述の主張自体に同調できる理由は、日本の大学は過去にも現在も、産学連携はあったにせよ、大学自体はあまりにも市場(事業化)からかけ離れていたからです。日本の大学における産業創出が、大学発ベンチャーの「量」ではなく「質」に注目すべき昨今において、技術移転一辺倒になりつつあることには特に危機感を覚えます。ですので本日の発表についてはむしろどんどん主張していただきたいのですが、根本とはかけ離れた部分で無理な主張をすると本質部分がかすんでしまいます。勿体ないですね。外国から日本の産学連携をみた視点という意味では本当に新鮮な内容でした。
 本日のこの第1回アントレプレナーシップ・コンファレンスは、日本ベンチャー学会と企業家研究フォーラムの合同主催とのこと、私は日本ベンチャー学会メーリングリストで知り参加申込みをしました。10時から16時と長丁場でしたが、進行形態がとても素晴らしいものでした。
 1発表者の持ち時間は1時間!この時点で素晴らしいと思うのですが、もっと驚いたことが、発表者にはその1時間のうち発表時間が10分しか与えられていない!つまり残り50分はコメンテーターのコメントとディスカッションです。さらに素晴らしいのが事前にフルペーパーがメールにて配信されている点です。
 それでも時間がきて次へ進むといった具合でした。私も事前に報告を読んでいて、それぞれに質問があったのですが、実際に質問ができたのはこの発表のみでした。
 学会などでもこのような形が理想だなぁと感じた次第です。

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 さすがは大阪の船場のビジネス街です。昼食をどこで食べようかとキョロキョロしていると、お店が小路の至る所にあります。しかも土曜日にもかかわらず、店を開けて、ランチ営業をしています。

 西欧料理のお店、数軒で迷ったのですが、「ちょこっとスペイン料理という看板のフレーズと、西欧のBarを連想させる洒落た店内が決め手となり、"Meson de T"というお店にしました。

 
 (「ちょこっとスペインランチ」(ドリンク付)、なんとなく雰囲気を感じることが出来ます)

 注文をしたのは「ちょこっとスペインランチ」、これがとてもいけました。西欧料理では最近はずれが多かったのですが、さすが大阪の競争が激しいビジネス街、ちょこっとスペインの良さを味わうことができました。

 コンファレンスが終了後、ダッシュで移動し、今、大学に戻るサンダーバードの中で文章を打っていますが(アップは大学についてからか^^;)、今日は福井大学の「きてみてフェア」、でも大学に着くころにはもう終わっているだろうな…(><)