日本では外国人は治外法権…らしい

 昨日22日より、タイの元首相(第31代)のタクシン・チナワット氏が来日しています。同氏は2006年に起こったクーデターで失脚しました。また汚職防止法違反の罪で実刑が確定しています。

 日本の「出入国管理及び難民認定法」では、上陸拒否事由として、「4.日本国又は日本国以外の国の法令に違反して、1年以上の懲役若しくは禁錮又はこれらに相当する刑に処せられたことのある者。ただし政治犯罪により刑を処せられた者は、この限りでない」(第4号)の条項があります。しかし共同通信の記事によると、汚職防止法違反罪で実刑判決が確定しているタクシン氏の入国は、日本政府が両国関係やタクシン氏の影響力を考慮して特別に許可した」(8月23日)そうです。尖閣諸島での漁船衝突事件の船長の件にしても、今回にしても、日本では外国人は治外法権となるようです…。

 私がそもそもこの件で気になったのは、「両国関係を考慮して」の部分です。私がタイにいた先日8月8日、確かにタクシン派でタイ貢献党インラック・シナワトラ氏が第36代のタイ首相に就任しましたが、2006年のクーデター以来、タイではタクシン派と反タクシン派は拮抗した状態で争っていると認識しています。現政権を考えれば、確かに両国関係にはプラスなのかもしれませんが、中長期的にみて今回の決断が良いか否かは微妙です。

 なおご存知の方も多いと思いますが、8日に就任したインラック首相はタクシン氏の妹です。またタクシン派(赤シャツ)は主に農村部や低所得者層、反タクシン派(黄シャツ)は都市部の富裕層、権力者層から支持を得ているとされています。今回、インラック氏はタクシン氏と同様に赤シャツに有利な政策を採用するでしょう。例えば、既に表明されているタイにおける最低賃金の上昇です。

 すると私の研究にも少なからず影響を及ぼすのですが、近年は低コストの労働力の獲得目的のインセンティブが低くなっているとはいえ、日本企業のタイへの進出意欲にマイナスの影響を与えるかもしれません。

 なお経済学的には、最低賃金制度の導入はマイナス要因であり、最低賃金の上昇は失業者をさらに増やす可能性があると考えます。

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 赤シャツ、黄シャツで言えば、先日の出張では以前のように黄色のポロシャツを着て街を歩く人の姿をほとんど見なくなりました。政権が変わるとなると、国民もうまく順応するのでしょうか(あの黄色のポロシャツと黄シャツが関係するのかどうかはわかりませんが…ちなみに赤色のポロシャツというのはないのかもしれません)。

 政権が変わっても、相変わらず検問などは厳しくやっていて、ミャンマー国境に向かうバスでは何度も検問があり、そのたびに身分証をチェックしていました。

 
 (身分証チェックのようだったので、とりあえずパスポートを提示)
 
 (1人、荷物に目をつけられた様子で、一旦、バスを降ろされていましたが)

 ちなみにチェンマイ⇔メサーイ(ミャンマー国境に隣接する街)の間はバスで1時間30分程度です。3等バスは33バーツ、2等エアコンバスは52バーツ、VIPバスは63バーツです。どう考えても30バーツ(80円程度)の違いならVIPバスのほうがよさげです。椅子に(あまり効果のない)マッサージ機能と、前方に大型テレビモニターが付いていますので…。

 
 (3等バス、33バーツ、席は早い者勝ち。乗り心地悪そう…)
 
 (2等バス、52バーツ、行きはこれを利用しました。指定席。乗車後しばらくすると乗務員が冷たい水を配ってくれる)
 
 (VIPバス、帰りはこちらを利用しました。快適です。指定席。乗車後しばらくして冷たい水を、降車時前にお知らせついでに紙おしぼりをくれる。毛布もあり、63バーツ(160円程度)で快適な旅ができます)