オークションは知っていても入札は知らない?

 今週で学部のほうの授業も終了し、前期は来週の試験(半分、授業をしますが…)のみです。企業行動や市場理論の説明も終わったということで、今週は以下のような入札のゲームを考え、試みてみました。

 各机の2〜4名が1チームを組むと、教室の机の合計30個分、30チームができます。そこで4種の仮の商材を用意し、仕入れフェーズと販売フェーズに分けて、入札の行動をシミュレーションするというものです。

 学生はオークションに関してはおおよそイメージがわくようなのですが、役所などが行う公募入札などの仕組みはあまり聞いたことがないようでした。事前に説明をしましたが、意思決定に各チームとも結構時間がかかっていました。

 これはオンラインゲームのアナログかつ経済教育版のようなものです。各チームの意思決定を見ていると、まさに他の29チームの行動を意識しながら考えているなぁという印象を受けます。結構、盛り上がっていました。

 商材はA〜Dの4つを設定しました。仕入れフェーズでは、A〜Dのそれぞれで最低仕入れ価格と在庫数が異なるため、他の29チームの行動を想定し、入札金額を決定しなければなりません。もちろん仕入れ価格や在庫数だけでなく、そのあとの販売フェーズにおける売却価格、つまり仕入れ価格との利幅も考慮しなければなりません。(しかしそもそもの在庫を少なめに設定しているため、商材の仕入れができなければ販売すらできないということから、利益を出すのも容易ではありません。)

 同様に売却フェースでは、購入者がどの商材をいくつ希望しているかと、最高価格(これ以上の価格なら買わないという金額)を踏まえ、やはり他のチームの動きを読みながら、売却金額を提示します。

 結果は、来週に発表をするのですが、残念な行動をしているところが1チーム。。。

仕入れフェーズ] 商材A 最低販売価格35000$ 在庫1個
[売却フェーズ]  商材A 最高購入価格90001$ 希望1個
という設定において、商材Aは仕入れフェーズにおいて在庫が1個なのに、売却フェーズにおいて最高価格を提示しなかったということです。詳しくいうと、そのチームは45000$で商材Aを落札して仕入れることができていました。在庫が1個なので、そのチーム以外は商材Aを購入できていない(つまり競合はいない)ということです。にもかかわらず、その商材を売却する際に最高金額の90000$を提示せず、75000$を提示していました。

 まぁ、このチーム30000$の利益で十分という、欲のないチームということでしょうか。このような行動を見ると、「後期も授業を取って勉強をし直しなさい」と言いたくなります(笑)

 ちなみに落札価格の結果発表です!

仕入れフェーズ]
 商材A 最低販売価格35000$ 在庫01個 応札数01 落札価格 45000$
 商材B 最低販売価格14000$ 在庫06個 応札数24 落札価格 20000〜21002$
 商材C 最低販売価格11000$ 在庫20個 応札数35 落札価格 15000〜35000$
 商材D 最低販売価格13000$ 在庫10個 応札数26 落札価格 19000〜25000$

[売却フェーズ]
 商材A 最低購入価格90001$ 希望01個 応札数01 落札価格 75000$
 商材B 最低購入価格30000$ 希望04個 応札数06 落札価格 25000〜27000$
 商材C 最低購入価格60000$ 希望02個 応札数20 落札価格 21000〜25001$
 商材D 最低購入価格40000$ 希望03個 応札数10 落札価格 25000〜29000$

 商材Cを落札した一部のチームは、完全に赤字ですね…。

 このビジネスゲームのバージョンアップ版も想定しています。それは後期の授業でゲーム理論の説明を終えてから、実施しようと考えているのですが、仕入れフェーズと売却フェーズの間に、生産フェーズを設定し、さらにそこでグループ間において仕入れ材料の交換交渉時間を設けるというものです。するとチームによってさらに利益が変わってきます。

 今年は大教室の特徴を活かすという点に重点を置き、MMO的な要素をもつ経済・経営ゲームを作っているのですが、今回は特に相場観や商魂といった知識以外の教育効果もあったと思います。