付加価値を高めるには?

 今日は今年度の本学の大学院の授業「企業戦略概論」の第1回目でした。学部のほうはすでに2回目を終えたのですが、大学院のほうは2限連続授業の設定ということで、1週ずれて開講しています(5月以降は隔週)。

 1限目はガイダンスとして会社の仕組みや制度の背景などを、そして2限目は「価値」について話しました。大学院の授業なのでアウトプットも求めるのですが、今回は第1回目ということで、受講者には授業の最後に自己紹介を兼ねて「付加価値(の高さ)は何で決まるか」というシンプルなテーマを定め、それについて発表していただきました。その上で他人の意見に賛否を示してもらいました。

 こちらは学部の授業と違い少数で行っています。その中でも研究員の方、工学研究科博士後期課程学生、社会人の方に分かれます。それぞれに回答の特徴がありました。共通しているのは消費者の嗜好、違いが出たのは研究員の方は差異化、学生の方は多機能、社会人の方はブランドという回答でしょうか。

 ちなみに直前の授業ではMOT(技術経営)に必要な顧客志向の考え方について話しています。

 これらの回答からわかることは、受講者の方々の学問的バックグラウンドです。ほとんどの方が工学を専攻とされているので、生産工程における追加の機能という視点で付加価値を見ています。もちろんこの考えも正しいものです。では経済の視点ではというと、以下のような捉え方をします。

 それは付加価値の数値化です。このヒントを出さなかったので、いい感じで意見がばらけたと思います。各人の意見への反論も様々でした。では今回あえて話さなかったこと、つまり付加価値の数値化を前提とするとどうでしょうか。

 例えば価格を絡めるということです。学食のカレーは250円、福井大学No.1カレーは630円、ホテルのカレーは2000円、この価格の違いです。もちろん原価は違いますが、人件費や材料費を差し引いたとしてもその価格の差、そこに内在する付加価値は大きなものです。

 するとこのカレーの例における付加価値が何で決まっているかがわかります。つまりこのような経済の視点を織り交ぜると、工学と経済の双方の視点から付加価値を考えることができ、自ずとテーマに対する答えも収束します。

 もちろんあえてこのヒントを述べなかったのは、まだ1回目で知識のインプットが少ないまま何かの結論を急ぐのではなく、まずはアウトプットのための練習的意味合いがあります。次回、もう少し付加価値を説明し、技術経営を絡めたテーマへと応用し、議論に方向性をつけようと考えています。