為替介入は相場操縦ではありません!〜協調円売り介入、きました〜

 直近で円が対ドルで76円台の最高値を更新し、これは企業収益に影響が出てまずいなぁということで、昨日の段階で為替介入が来るかと思っていたのですが、今朝やっと為替の協調介入の合意が行われたようです。現在、対ドルで81円台に戻しています。

 普段、FX(外国為替証拠金取引)もしない私が、なぜ為替が気になっていたかというと、もちろん多くの日本企業が対ドル80円台前半を想定して経営計画を立てているという経営学研究の絡みもあるのですが、それよりは単に昨日、英国で行わる学会参加費約250ポンド(英ポンドなのですが)の決済をしたからです(笑)

 さてこの政府による為替介入に関連しますが、私が学生だったころ政府は頻繁に株価維持策(PKO:Price Keeping Operation)を行っていました。バブルが崩壊し、株価が急降下する中、銀行の含み損が拡大していく過程で、「これはやばい、銀行に信用不安が起こる」ということから、なんと政府が銀行の株式を一旦保有したり、はたまた上場株式を市場から買い付けることで、上場株の株価を維持していたのです(こんな時代があったのです!^^)。

 当時、大学であえて他学部開講科目である法学部の「証券取引法」の授業を受講していた私は(しかも興味ある部分だけ聞いて授業に出なくなり、結果として落とした?w今度成績証明書を見る機会があれば確認しよう…)、知識も中途半端な状態でした。そのような中、このPKOが「相場操縦にあたらないのか?」という疑問をもったことがあります。その疑問の背景は「市場に任せておくべき価格を意図的に変動させたのはよくないのでは」という考えがあったのですが、結論としては相場操縦にはあたりませんでした

 簡単に言ってしまえば、政府は自分のお金で注文を出しています。つまり市場参加者の1主体として市場に参加して売買しているわけであり、他の市場参加者に誤解を与える行為をしたわけではないからです。

 つまり相場操縦といわれるポイントは、たとえば風説の流布(偽の情報により、相場の変動を示唆する)や架空取引(売買が頻繁であると見せかけたり、値動きがあるように見せる)など、自分以外の他の市場参加者に誤解を与え、取引を誘発することです。これには当たらなかったわけです。

 為替介入も同じです。たとえば円が対ドルベースで70円台後半だったとして、80円台へと円安にしたいと思った場合でも、他者の取引を誘発する目的ではなく、自己が主体となり買いあがる、売りさがるということですから、市場参加者として行っていることになります。

 今朝の協調為替介入のニュースを知って、ふと若かりし頃の疑問を思い出しました。