ベンチャービジネスは、ニッチ市場ではなく独占を目指すこと!

 「今年が特別なだけで、例年はこんなに降らないよ!」
 う〜ん、本当かなぁ…、みんな口をそろえて私を励まして(?)くれます。しかし、福井県の人が全員でこの雪に凹んでいる私をはめようとしているのでは?と思えてしまうぐらいの大雪です(笑)。

 
 (一昨日、日曜日のお昼の福井のとある駅のプラットホーム、サンダーバード車内より写メ)

 危なかったです。先週は金曜日、日曜日と京都大学で仕事をしていたのですが、日曜日は虫の知らせ?で早めに福井に戻りました。するとその日の夜のサンダーバードは途中駅で立ち往生、乗客は車内で一晩を過ごしたとのことでした…。

 
 (昨日の朝の私の車です。乗れそうにありません。夜には車の高さまで雪がきてドアが開けられなくなった…。)

 昨日は、私にとっては生まれてから今までで最多の量の凄い雪でした。朝、早めに起きて電車の駅に行ったものの、えちぜん鉄道も運休です。写真の通り、車も出せません。タクシー会社に何社か電話しましたが断られるか9時以降まで無理ということでした。しかし9時に会議だったので、「福井の人は当たり前のように通勤するのだろう…、私も福井に住んだ以上、何としても行かねば!」と思い、他力は諦めて、家から4kmの道のりを、雪にズボズボとはまりながら歩いて大学にきました。(時間に間に合ったものの、この日の会議はお休みになりました…)

 話変わりますが、その昔、数学の問題文といえば、徒歩の場合は時速4kmというのがお決まりでしたが、あれは雪道の話ですね。ちょうど足元が悪い、福井の雪道で時速4kmを実証しました。本来ならば時速5〜6kmくらいかもしれません(笑)

 しかし私は学生時代はこういうトラブルがある日ほど、きちんと時間通りに学校に通っていました^^。

 
 (これは大学の私の部屋の窓からの風景。腰の高さまで雪がくるか…。)

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 運よく、京都から危機一髪で福井に戻って来れましたが、京都では多くの経営者と将来の経営者との出会いがありました。先週金曜日は京都大学ベンチャービジネスを志す大学生ベンチャー経営者向けのセミナーをしていたのです。

 ベンチャー企業の戦略は、大手が参入してこないニッチ市場を狙うことなどといわれます。しかしそのような「大手が参入してこないだろうと安心できる分野が存在する産業分類は、実際にはさほど多くないのではないか」というのが私の実務経験と研究から得た考え(結論)です。大手が直接的に参入してこなくとも、間接的に新たに社内ベンチャーを設立するなり、同業他社の中小企業をM&Aして、そこに少々の経営資源を集中すれば、独立系のベンチャー企業にはなかなか勝ち目はありません。

 私は自身のこのような考えのもと、ベンチャービジネスが目指すのはニッチや独占的市場ではなく「独占」そのものであると考えています。

 「独占」と聞くと、多くの方が「一部の大企業の話じゃないか?ベンチャービジネスで語る話ではない」と感じるかもしれません。確かに「独占」や「寡占」の一般的なイメージは大企業(ガリバー)による市場席捲をまず思い浮かべます。しかしそれは「自然独占」の話です。ある財やサービスについて、複数の供給者による生産よりも、特定の一つの生産者による生産のほうが効率のいい状態の場合、つまり規模の経済性により競争的にはならず、自然に独占が発生する場合です。

 しかし「独占」を形成するプロセスを見てみると、必ずしもそうではないことがわかります。たとえば地域独占です。これは地域で区切った場合は人口規模が小さいことから、複数の供給者が進出しない場合の独占のことを指します。しかしこれは私が言いたい独占とは違います。

 ベンチャービジネスが目指す独占とは、新しい発明に対し特許を与えることにより生まれる独占です。つまり、その発明から生まれる製品の製造や販売を独占する権利、その権利を保障する場合です。当然、これであれば企業規模の大小は問いません。

 そしてこのような独占を目指すことのできるベンチャーこそ大学関連ベンチャーであるということをこの日に述べました。研究シーズが数多く眠る大学では、その研究を技術開発に結び付け、事業化、産業化を目指す経営者が必要です。そのシーズにもっとも近い位置にいるのが、大学関連ベンチャーであることは間違いありません。(あえて大学発ベンチャーと私がいわないのは、大学のかかわり方は既存の方式にとらわれず様々であると考えるからです。ちなみに今私が福井大学にて関与している案件では、大学がかかわっているというとかなり違和感があるにもかかわらず、大学がかかわっているようなものです。長くなるので、ここでは省略しますが…。)

 大学との共同研究だけでなく、大学のインキュベーション施設にいるだけでも、いつでも研究者と接する機会があります。そしていつでも相談に乗ってくれる場所、今、私が所属する福井大学産学官連携本部もあります!(起業支援部にどうぞ!)

 このような私自身の考えをもとに、産学官連携でよく述べられる「魔の川」「死の谷」「ダーウィンの海」についても説明をしました。ここで強調したのは、大学関連ベンチャーを志す方は「何か事業化できるものはありませんか?」ではなく、「事業化できそうな研究シーズ」に目をつけたら、「魔の川」と「死の谷」を自身で乗り越えるぐらいの気合で研究者に関与することです。

 私は幸運にも前職でこのような考えをもつ素晴らしい経営者の方、何名かと知り合いになることができました。そしてそれらの企業は、数か月ごとに目に見える成長をしています。福井でもきっと独占を目指せるベンチャーが生まれてくることを期待しながら日々過ごしています^^

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 ちなみに雪の話に戻しますが、我が家のベランダのプランター栽培の大根菜をはじめとする種々の野菜たち、この雪でやられたかと思いきや、雪をそっとどけたら元気でした。一安心です!

 
 (金曜日はアグリベンチャーを目指す学生さんはじめ、多くの起業を目指す方と出会いました。アグリ(農業)もこれから必要とされる有望な分野だと思います。頑張ってください!)