ハーゲンダッツジャパン社の独占的競争戦略とリクルート社の広告戦略!?

 「ハーゲンダッツのアイスクリームは高い!これはGODIVAのチョコレートに匹敵する(><)」と常日頃思っていると、いい情報がありました!2010年11月18日11時59分までなら、660円の同社アイス2個券がリクルートのサイトでは、なんと100円(郵送料無料)だそうです。私はもちろん申し込みました^^(リクルートキャンペーンサイトはこちら。)

 そもそもハーゲンダッツジャパンは、同社のブランド戦略から、価格を割り引くことはないと思っていたので、この価格の仕組みがとても不思議でした。そこでキャンペーンサイトの内容をよく読むと、やはりきっちりと「ハーゲンダッツジャパンは同キャンペーンのスポンサーではありません。」と明記されています。

 ということは、660円−100円=560円/1人の差額と郵送料80円はリクルートが負担することになります。「1人1枚しか購入できません」「同一人物と思われる場合の重複応募は取り消しの可能性」という文言をみて納得です。560円+80円=640円/1人の差額は、リクルート社の広告費というわけです。

 チケットが100万枚限定ということは、今回の広告予算は6億4000万円!?しかしそれで顧客が最大100万人増えると考えれば、同社は広告費として妥当だと判断していることになります。

 産業によって異なるでしょうが、この変動費640円だけを考えれば、確かに安いと思います。通常はDMを出しても1回80円、そのヒット率は1%あれば万々歳、ということは1人の顧客(の個人情報)をつかむために期待値として最低8000円の広告費がかかります。リクルートの今回の方法は、640円の広告費で確実に1人の個人情報が手に入る、これは大きいですね。

 私はその手にまんまとはまってしまいましたが、ハーゲンダッツの魅力には変えられません^^。昨年、関西の大学で1、2限連続の授業を持っていたのですが、講義後の喉を潤すために、お昼ご飯がわりにハーゲンダッツアイスを食べていたぐらいの好物です。おすすめは「アフォガート」でした。ヴァニラアイスにホットコーヒーをかけて食べるヨーロッパのデザートですが、この味は最高です。

 

 なお、ハーゲンダッツGODIVAが一般的なアイスやチョコより高い件ですが、昔、学生から「経済学的におかしいのでは?」という質問を受けたことがあります。その学生からすると、それでも売れていることが完全自由競争における需要と供給の理論に当てはまらないと感じたみたいです。そこは前回の独占に関するお話と同じ領域なのですが、実は完全自由競争に当てはまらず、不完全競争の中の独占的競争に分類されることが原因なのです。

 企業は自社の製品に様々な差別化やブランドイメージを付けて、その製品独特の市場を創り出そうとします。つまり競合しないように差別化を図るため、(完全自由競争にならず)独占的競争になるというわけです。簡単に言えば、差別化によって、その製品に関する独占を創り出すということですね。すると市場均衡点に従う(プライステーカーといいます)のではなく、需要曲線に応じた価格支配力を当該企業が持つ(こちらはプライスメーカーといいます)ことができるのです。

 いまちょうど起業のテキストと並行して、来年度の春学期に向けた理系生や社会人を対象とした教養レベル+αの「ミクロ経済学と企業戦略を絡めた教科書」も作っているのですが、先週、ちょうどこのあたりを書いていました^^