「ギッフェン・パラドックス」に無理やり寝技で持ち込む妄想!?

 今日は14時から本務校のイベント、「産業現場に即応する実践道場」のキックオフセミナーでした。博士後期課程の学生への授業プログラムの駆け出しイベントです。今回のセミナーでは、これといって自分が担当する役割もないのに、なぜか朝からソワソワします。なんだかんだ言っても、今後、自身が関与する教育プログラムだけに、意識してしまいます。

 今でこそ、随分慣れましたが、授業がある日の授業前の気分に似ています。しかし今でも毎年度の授業はじめの1回目は緊張するものです。昨年度は2時間弱かけて、1時限目の授業を行う為に通勤していたので、実のところソワソワする間もなかったのですが…。

 セミナーも終わり、部屋でほっこり

 今日のセミナーでは、eラーニングの話が話題にでていました。確かに欧米や韓国、シンガポールでは、大学におけるeラーニングがかなり普及しています。しかし私は正直なところ、日本でeラーニングはなかなか厳しいのではないかと思っています(実際にeラーニング科目を担当したことがあって、こういうのも何なのですが)。というのも、日本の大学生は、eラーニングででも(「でも」!なのです)いいから、学ぼうというそこまでの必要性に迫られていないからです。

 私の研究内容の一つに、起業教育内容について、ゲームを含み、広くデジタルコンテンツとして学ぶ方法論の確立があります。しかし上記の状況を踏まえると、デジタルコンテンツで学ぶ起業教育には相当の工夫が必要だと思っています。

 その理由をミクロ経済学風にいうと、消費者(受講者)が「生ライブ授業」と「eラーニング」の二者択一の選択の前提にあれば、「eラーニング」は劣等財(下級財)にあるかも…だからです。「少々その時の授業の質にブレはあるにせよ、生ライブの授業に越したことはない」と、社会人の方でも思ってはいないでしょうか。そのような感覚に代表されるように、「eラーニング」が「生ライブ授業」に比べて劣等財的位置づけにあるならば、ギッフェンパラドックスが起こりうる可能性があるのです。

 それは社会人が時間的制約で「生ライブ授業」と「eラーニング」の二者を組み合わせて受講せざる得ない状況にあるとき、もし「eラーニング」が短時間で効率よく学べるようになれば、むしろ「eラーニング」で学ぶ項目を減らしてしまうということです。なぜかというと、限られた時間の中で、「eラーニング」の効率化により時間に余裕ができ、その時間的余裕を正常財(上級財)である「生ライブ授業」に充てることで、結果として「生ライブ授業」で学ぶ内容が増え、「eラーニング」で学ぶ割合(時間的割合ではなく、内容としての割合)を減らしてしまうという逆説が起こるからです。

 となると、「eラーニング」による教育方法の効率化を研究する前に、我々は「eラーニング」の劣等財からの脱却という研究をしなければなりません。そのように感じながら傍聴していた、今日のセミナーでした。

 もちろん、いつもの私の無限に広がる妄想の一つです!eラーニングでも立派な教育方法論が確立できるよう起業教育研究のほう、頑張っておりますので、ご心配なく!
(いつも発想が自由すぎるといわれます…w「高校時代に医学部に落ちたが、なぜか経営学部も受験していた。」「学生時代にバイトでためたお金で貯金をしようと思い、真っ先に口座を作ったのが銀行ではなく証券会社だった。」「就職活動の時期に『起業』を考えた。」これらをまわりは突飛だとか、自由すぎるだとか、論理性がない(あるわい!)とか、無茶苦茶いいますが、私の中では論理構築ができており、あるあるな話なんですよ。)

 

(補足) ギッフェン・パラドックスについて
 経済学を学んだことのない方は以下のようなパラドックスを想定してみてください。

 リョウマ君は1ヶ月のおコメ代予算が4200円と決まっています。そして必ずコメを1ヶ月10kg食べます。その関係上、高級なコシヒカリ(1kg600円)と、予算上仕方なく食べている玄米(1kg300円)を4kg、6kgの割合で4200円分(600×4+300×6)買っていました。

 ある日、玄米の1kg単価が300円から240円に値下がりしました。玄米が値下がりしたのに、リョウマ君は玄米を食べる量を減らしてしまいました。普通は値下がりしたら、消費者は普段よりその財を多く買うはずなのに、なぜでしょうか。

 その理由は、リョウマ君の購入が以下のようになったからです。コシヒカリ5kg、玄米5kg。たしかにこれで、リョウマ君の1ヶ月の予算4200円(600×5+240×5)を満たしていますし、ちゃんと合計10kgを食べています。

 このように値下がりすると、逆に売れなくなるものをギッフェン財といいます。

 私はこのようなギッフェン効果に似た危惧を「eラーニング」に当てはめてみましたw

 何はともあれ、今日スタートを切った実践道場プログラムは「生ライブ授業」いやそれ以上の「実践教育プログラム」です。これからが当プログラムの本番です。頑張ります(^^