自国の領土・領海すら守れない国で起業家は育つのか?

 「自国の領土・領海すら守れない国で起業家は育つのか?」

 このテーマは私自身が設定し、特に今後機会があれば研究の比重を高めたいと考えている起業教育テーマです。このテーマに関する説明は400年前の大航海時代のビジネスを例として「過去のブログ」に記載していますので、そちらを読んでいただければ幸いです。

 今後は日本のビジネスにとって(そして一部の地域では既に)、生産拠点としてだけではなく、市場としてもアジアを中心とした海外の重要性が高まります(高まっています)。ますます日本発のビジネスにとってグローバル化は避けられません。そのような今後において「日本は大航海時代のヴェネツィアとなる危惧!? - 起業教育研究:キャリア・アントレプレナーシップ過去のブログ」に記載したように、国の威厳なくしては、日本企業にとって対等な立場で外国企業と競合し、自社のビジネスを展開するのは難しいでしょう。先般の中国におけるレアアース輸出入問題はいうまでもなく、その他あらゆるシーンで国の威厳はプリミティブにビジネスに関係します

 さて既に報道のとおり、本日、ロシア連邦の副大統領らが、日本の許可を得ることなく、再び北方領土に訪日しています。

NHKニュースサイトより転載)

ロシア閣僚が北方領土訪問 5月15日 11時51分
ロシアのイワノフ副首相率いる5人の閣僚らの視察団が、閣僚としては東日本大震災後初めて、北方領土択捉島を訪れ、北方領土の実効支配を強めていくロシアの立場を印象づけました。(以下略)

〜引用ここまで〜

 日本政府の立場としては、13日の段階で、在ロシア日本大使館を通じ(インタファクス通信に対して)「北方領土を訪れることは受け入れがたい」と表明していますから、最低限のことはしています。しかしなぜ日本はアメリカやお隣に位置するアジア諸国の行動とは違い、このような弱腰姿勢なのでしょうか。

 一つは多くの方が述べられている、軍事力(抑止力、防衛力)による見えない力が弱いこと、これは事実かもしれません。自衛隊は日本にとって大きな役割を果たしているにもかかわらず、このような捉えられ方というのは少し残念です。この件を議論しだすと横道にそれるので、ここでは置いておきます。

 ここで私はもう一つ欠けているものがあると思います。それは国民世論の高まり、または後押しではないでしょうか。

 例えばお隣韓国では外交問題に関する国民世論の過熱は日本と比べ物になりません。当然、政権運営にとって最重要課題の一つになります。

 悲しいことに、日本ではいくら日本漁船乗組員等がロシアや韓国に領海に関する件で殺傷されようが、捕縛されようが、外交・領土問題が政権運営の最重要課題であったかというと、今まではそうではありませんでした。

 以上、ビジネスに様々に影響する日本の威厳という観点からも、国民世論の喚起、ひいては教育政策は重要です。以下の日本の立場、および日本が取るべき立場は、学校教育なり社会教育で押さえておくべき内容です。

1.
 ロシアは北方領土が日本領であるにもかかわらず、ロシア領であると事実を誤認し、一方的に不法支配をしている。
2.
 60年以上にもわたり日本領を不法支配していることは、大国であるロシアにとって国際的に恥ずべき行為に値する。
3.
 ロシアは速やかに北方領土からすべての自国民を撤退させ、北方領土を原状回復するとともに、長期間にわたる不法支配と誤情報の発信について国際社会に対し謝罪しなけらばならない。
4.
 昭和20年8月9日、ロシアは日ソ中立条約を無視して日本に対し戦争を仕掛けた。ロシアは日本がポツダム宣言を受諾した後も攻撃を続け、昭和20年8月28日から同9月5日までの間に、北方領土を不法占領した。
5.
 この陋劣極まりない行為は、半永久的に国際社会によってロシアの汚点となることは間違いない。ロシアは同行為を猛省の上、日本の関係者へ謝罪を行い、過去の誤った認識に基づく日本人の殺傷行為他、すべての事項について賠償すべきである。
6.
 ロシアは北方領土を日本領と認め、日本に対し入国申請を行い、それが許可された場合にのみ北方領土への日本入国が認められることを再認識すべきである。

 日本が北方領土を日本固有領土と主張する以上、政府は上記1〜6の根底部分のエッセンスのみでも日本人全員が共有できるような教育政策を組むべきでした。論理的に整理すれば、北方領土が日本領であると主張する以上、この見解は正当です。もし違和感を感じる方が多いようであれば、非常に残念ながら教育政策において日本政府の主張と教育が一致していないという証拠です。

(追記)
 個々の政策は議論の余地があるでしょうが、世論を味方につけて大きな力としたのは前小泉純一郎首相です。特に自民党総裁選の劣勢を跳ね返した世論に興奮と驚きを隠しえませんでした。
 ところで私は、知る人ぞ知るかなりの阪神タイガースびいきです。以前に関西のとある大学で5限の授業を持ったのも、その大学が阪神甲子園球場に近く、授業後にタイガースの応援に行けるからという動機が20%程度ありました(結構大きい?)。この阪神タイガースの応援団に関しては有名な言葉があります。「観客は10人目の野手である。」という言葉です。内容、領域は違えど、世論を味方につけることと共通するものがあるのかもしれません。